いつも初心に返る
Four-heart-clover 伊藤 千枝 (左) 荻 尚子 (右)
萩:まず心理学の基本的な勉強をして、それからカウンセリングの実践的な技法を学びました。それから研修で現場を見ていったのちに認定の資格をもらって卒業して、開業しました。ただ、そこでは勉強をすることだけが目的の人が多くて、そこで学んでいた人の1割ほどしか実際には開業しません。大体の人たちは身近な人にサポートして満足してしまったり、もともと開業を考えずに、ボランティアでやっている人もいます。それから、カウンセラーは就職先がほとんどないので、学校に行ってから行き詰る人は多いですね。
伊藤:あるいは、カウンセリングの仕事に携わることによって、
人の人生を背負ってしまうのが怖くなって途中でやめてしまうケースもあります。
萩:開業への一歩を踏み出すのは勇気がいることで、特にカウンセラーというのは、
自分で開業・起業するか、すごく狭い枠のなかでどこかに属するかしか選択肢はないんです。でも、その受け皿のほうはすごく小さいので、そこで自分で開業するまでの勇気は出ないという人がほとんどですね。
萩:入学する時に開業したいという明確なビジョンがありました。
開業も一人でやるつもりはなかったので、学校に通いながら、いいパートナーがいないかと探していました。
伊藤:私は絶対に手に入れたいものは手に入れるという性質で、開業も、絶対実現させようと思っていました。実は、学校に入る前に、前の勤め先の社長さんに、「私がカウンセラーで開業するときは、こちらのオフィスの一部屋を貸してください」って言って辞めたんです(笑)。
金策とか人材確保とか、IRとか、お客様とのトラブルとか、何より競合他社が 出てくるかもしれないですよね。
もともとやりたかった仕事がたとえば「技術」だったとしても、ベンチャーを立ち上げて、自分がやりたかった部分は何割なのかと考えると、実際には微々たるものなわけですよ。だから、漠然と「起業したい」という思いでやるなら起業しないほうがいいと思います。会社経営をやりたいという強い想いが大切です。事務も技術も営業も自分ですべてやってやる。どれも大切な仕事なのです。
萩:最初は5人で勉強会を開いていく中で、どんなビジョンかとか、どうやって仕事をしていくかをお互いに話していきました。開業が怖くなったり、ビジョンが少し違うと思った人たちが次第に抜けていって、最終的に残ったのが私たち2人です。
伊藤:2人で仕事をするのは、何かの分野ごとに分担しているわけではなくて、それぞれのケースでどちらが担当したほうがいいと思うのを、フィーリング的に決めている感じですね(笑)私が外・営業の仕事、荻が内の仕事っていうのもなんとなくありますけど、必要ならお互いに手伝っています。営業というのは、企業向けの研修も行っているので、そういう仕事を取ったり、企画を立てたり、という仕事です。
伊藤:今年で開業してから3年ですが、微妙な右肩上がりできました(笑)私たちには、3本柱があって、室内の個人セッション、企業向け研修の2つはお金をいただいて行う仕事で、もう一つがボランティアでやっているDV・モラルハラスメントなどの女性問題の発信活動です。今はこの3つを2人でやっているんですけど、できれば信頼できるスタッフを増やしていってボランティアの部分を盛り上げつつ、2人で残り2つの仕事を伸ばしていけたらいいなと思っています。