喜びがまた喜びにつながる世界
株式会社アイカラーズ / 時任 悟
本田健さんのセミナーに何度も参加していたら、ある時、「宝地図」や「レイキ」で有名な望月俊孝さんと出会いました。偶然、通路を挟んで隣同士の席だったのです。
「あの望月さんがいるよ!」とドキドキしていたら、なぜか彼の方から声をかけてくださりました。それがきっかけとなり、一緒に仕事をするようになりました。彼は、本田健さんと大親友だったので、同じような世界観をもって仕事に取り組んでいきました。
その頃、ダイレクト・レスポンス・マーケティングが日本で流行り始めた時期で、
「ここにこんな凄い商品があるぞ。今すぐ買わないとなくなっちゃうぞ。」という、顧客の感情を揺さぶり、煽りたてる手法が全盛を迎えていました。
ダイレクト・レスポンス・マーケティングの手法は非常にパワフルで、驚異的な売上をあげるテクニックとして猛威を奮っていたのです。
しかし、そんな中、「売上も大事だけど、やっぱりお客様と対等に、相思相愛でつながっていけるような感じでやれたらいいよね」と、望月さんとはよく話をしていました。
お客さんと丁寧にコミュニケーションを積み重ね、売る側、買う側といった関係でなく、教える偉い先生と生徒といった関係でもなく、あくまでも魂の対等性を大切に、ビジネスを育てていきました。
結果として、僕が関わらせていただいたセールスレターが、10年たったいまでもずっと機能していて累計10億円以上の売上になり、今もなお事業が成長し続けています。
その中には、「売上をあげるテクニック」を放棄して、あえて武器を持たないスタイルでのマーケティングを採用することが多く、マーケッターとして不安がなかったか?というと嘘になります。
しかし、望月さんの人望、人徳、情熱、行動力と、望月さんの会社のスタッフの皆様のご尽力があり、事業が成功しつづけるようになりました。
無名の一個人が担当するプロジェクトとして、あまりにも画期的な成果となり、この実績がその後の僕の人生を決定的に変えたと言っても過言ではありません。
先ほど、少しお話しましたが、いわゆる「マーケティングテクニック」を捨てる勇気というのが試されることがあります。
テクニック上、◯◯◯◯って言ってしまったら、売上が25%は上がる、といったようなことが多々あります。それでも、長期的なお客様との関係を考えると、今はしない、という選択をする場合があるんですね。
そういう時は、「本当に、それで大丈夫だろうか?」「こんなゆるいキャッチコピーで、売れるだろうか」と焦る時はあります。それでも長期の視点で見ると、やっぱり「やらない」という勇気を選択するのが、時に難しいと感じることがあります。
あと、スタッフとのコミュニーケーションにも気を使いますね。
わかちあいビジネスにとって、スタッフは同志であって、部下ではありません。
「俺がこう言ってるんだから、こうだ」的なモデルじゃないので、どうしてもコミュニーケーションに時間がかかってしまいます。
また、関係者全員にとって何がベストなのかを決める時に、チームメンバーの意見を一人ひとり聴いていくわけですが、中にはまったく何も考えてない人もいるし、一見わかりにくいけど凄くいいこと言っている人もいる。表面的に現れる事象と本当に大切な情報が入り混じった状態なので、それを見抜くのが大変だと思うことはあります。
「わかちあい」でいくと決めると、それ以外のモデルではいけないので、面倒に感じることはゼロではないですね。
これは補足なんですが、実は、「俺がこう言ってるんだから、こうだ」的なモデルの方が良いケースがあります。
それは、例えば、成功者に弟子入りした時です。
自分が弟子になる覚悟を決めたら、教わる側は、自分の考えがどうだとか、四の五の言わずに、成功者の教えを忠実に実践すべきです。自分の考えでうまくいくのなら、既に成功しているはずで、成功者に教えを請いになんか来ませんからね。
教える側からすれば、「お前にわかるんなら、もう出来とるっちゅうねん」ということなので、教わる側としては、「今の自分には、見えていないことがある」という認識を常にをもっていることが非常に重要です。
いろんな壁を超えてきた人は、それがわかるし見えるんですよ。だから、それを超えるチャンスが来てるのに、みすみす無駄にしてしまう人のこともよくわかるのです。
僕は幸いにも、チャンスを与えたい人とチャンスを掴みたい人、つまり、成功者と呼ばれている人と、これから頑張る人の両方の相談にのってきました。
成功者には成功者の悩みがありますが、かと言って、これから頑張る人の暇つぶしにはなりたくない。その辺がうまく繋がったらいいなと、いつも思います。
メンターに、「君は今の仕事を続けていて果たして楽しいのか?」と言われたことがありました。当時、仕事は充実していたし、お客様に感謝されるし、お金も以前よりずっと儲かっていました。「楽しいよ!」と思いました。本当に毎日楽しく暮らしていたので、ショックでした。
しかし、真実を突かれたような感じもしていました。静かに自分と向き合ってみると、自分はこの程度の人物だとか、だからできる仕事はこの程度で、もらえる報酬はこの程度だ、などと思いこみで自分自身に多くの制限をかけていることに気付きました。実際、そんな風に思っていると自分はそれ以上に成長できないんですよね。
結局、それがきっかけとなり、当時手がけていたメインの仕事を離れることになりました。その後しばらくは、メインの顧客を持たずに、フリーのコンサルタントとして活動し、同時並行で複数のプロジェクトに関わるようになりました。