一番大事なのはカネではなく、モノでもなく、『人』
株式会社SIエージェンシー / 木原 真
東京に来るとき、1つだけ仕事が決まったタイミングで、鳥取や岡山から何人かエンジニアに声をかけて、一緒に仕事を始めました。1つの仕事とは大手自動車会社関連のWEBサイト構築の仕事で、10月から始めて3月に完成するという予定の仕事でした。とりあえず1月にある程度完成させて、そこで細かい調整をするという話でした。
ですから、その予定通りに10月11月とプログラムを作って、1月に持って行ってみたらびっくり。
僕らは幾つかに分かれたプロジェクトの中の1つだったのですが、他のプロジェクトは9割9分位できているところ、僕らの所だけ全然できていない状態でした。「何でお前の所だけできてないんだ!」って、社会人になって初めて立って怒られましたね。
そして、1月からどれだけフォローできるかという状況だったので、正月に「トラブルだから帰ってきてくれ」と地方に帰っていたメンバーを招集して、仕事を再スタートしました。他の会社さんもメンバーを貸してくれたので20人位いましたが、その時は週に1回お風呂に入るくらいのペースで月に600時間働きました。
ちょっと臭いなぁと思ったら三日位風呂入ってないような奴が、靴下半分脱いで寝てたり、机の下で隠れながら寝ていたりしていましたよ(笑)。睡眠2〜3時間寝るくらいで、一ヶ月間。プロとして、「なんとしてでもやってやる」という気持ちでやっていました。600時間地獄を見ましたが、今思うと良い経験です。ただ、二度とやりたくありませんし、すでに出来ない気がします(苦笑)
出社は各自別々ではありますが11時には全員揃っています。みなさんの会社よりは少し遅い感じです。6時か7時位まではみんな仕事をやっています。比較的のんびりやっているので、残業が多いかというとそういう訳でも無いですし、「仕事が早く終われば早く帰って良いよ」ということになっているので、用事がある人は早く帰ったりもします。オンとオフがしっかり分かれているから、喋る時はワサワサ喋りだしますね。最近は新卒が増えてきたので、僕らだと年齢が離れますが、若い子達だと平均25歳位で賑やかな雰囲気です。
起業して思うのは、「起業は簡単、継続が難しい」ということです。アイディアや商品があって登記するお金があれば起業することはできる。ただ、自分達が持っている製品やサービスが売れるかは別問題です。その中で大変なのが、やっぱりモノ・ヒト・カネの問題。特に大変なのが人ですね。物や金は以外となんとかなるのですが、人はお互いがどう思っているかわからないですし、スキルも書類や面談だけではわからない。社風に合っているかわからない等、本当に色々な問題があります。逆に言うと、営業もモノ作りも人が行うことですし全てが人ありきですから。人が回ればあとはどうにかなるのかなと思いますし、継続していくために大事で大変なのは人だと思います。 最初の数年はやはりお金が一番大変でしたけどね(笑)。
時間が自由になることです。例えば、会社員で言うと朝8時〜6時まで必ず会社に行ってそこでいかに成績を伸ばすかが一つ課題だと思いますが、経営者になると逆に6時からの終わった後の付き合いだとか、時間外の仕事が重要だったりします。ですから昔は定時の時間が一番大切なことだったんだけれども、経営者になるとやる時はやらなければいけないという意識になりますよね。それでもある程度自由な時間で仕事ができるのは魅力です。
人脈づくりですね。仕事を紹介してくださる方や、いろいろと援助をくださる方を探しました。今はやはり岡山時代に知り合った人や、鳥取時代の友人が大きいです。先程言った600時間の仕事も高校の時の後輩から紹介してもらった仕事でしたし、そういう人脈にはたくさん救われています。いくら良い製品があって、いくらお金があっても売れなかったら意味が無いわけで、売るためには売り方を勉強をしなくてはならない。僕はセールスに関しては知識がないから売る人が必要になる、そうするとやはり人が大事です。特に一周りの上の方と人脈と繋がって、可愛がってもらうと本当に仕事に繋がる人脈になりますよ。僕の世代になると同世代の人だったり、異業種の友人が必要になります。とにかく最初はそういう人脈作りをしていましたし、今でもその関係を閉ざさないように細く長く関係を持つようにしています。