5回以上会いに行く
株式会社しんがり / 清水智
大きく言うと、二つのステージがあります。
一社目は、ベンチャー向けのコンサルティング会社です。そこで2年間修行させてもらいました。そこでは、支援先ベンチャー企業の営業アポイント取りを手伝ったり、販促ツールを作ったりといったことをやっていました。ここでは、営業の大切さを知る事が出来ました。また、大手企業の新規事業のコンサルティングをやる機会にも恵まれました。ここでは上司のサポートが主な仕事で、市場調査をしたり、データをまとめたり、報告書を書いたりしていたので、いわゆる調査能力が向上しましたね。
二社目は、IT系のベンチャー企業です。しんがりを立ち上げるまでの5年間お世話になりました。そこでは、ネットを使った事業の構築術を自分で研究して実践しました。それが、今でもしんがりの基盤となっています。それまでは、インターネットとはほとんど縁がなかったから、そこでネットという新たなものに出会いました。
高校の頃から、社長になりたい、会社を作りたいということにブレはなかったので、問題はそれがいつ溢れるかでした。しかし、お金がないという理由で、なかなか踏み出せないでいました。そんな時に、偶然参加した起業セミナーの講師が、「起業は簡単です。消費者金融で50万借りて、それで作ればいいというレベルのもんなんです」なんて言うもんだから、次の日には本当に金融機関で50万借りて、それを元手に会社設立しましたよ(笑)。
今思うと怖いけどね(笑)。でも、それは単なるきっかけで、本当にいつ想いが溢れ出してもおかしくなかった状態でした。だから、積極的に決断を下したというよりは、「そんなんでいいんだ」って思えたことが大きかったと思います。
スタートはなかなか上手く行きませんでした。というのも、前の会社と同時平行でやっていたからです。だから、夜と土日しかしんがりの仕事を出来なくて、苦労しました。けれども、前の会社を手伝っていたということで、固定収入があったので、それを元手に色んなサイトを準備できたという面もありました。
170万程投資して、証明写真機の位置情報をモバイルサイトに載せるというサイトをリリースしました。出来上がったものは、アイデアも、システムも、デザインも、良いものが出来たという自負がありました。しかし、結果からいうと、失敗しました。その原因は、ビジネスモデルが、決定的に出来ていませんでした。何故かというとサイトの運営方法は、その機械のメーカーへの営業に限られてしまったからです。当時そのメーカーは10社しかなかったから、10社に対する営業力に依存していました。1社5万円の契約を考えていたので、10社契約出来てもたかだか50万円にしかなりませんでした。そんな中で、知り合いの社長に会った際に、「このサイトは、営業に依存するビジネスモデルでしょう?ネットビジネスなら、パートナーも顧客も、ネット上で完結する事業でなければいけないよ。」と言われて、その時に「ネットビジネスの本質」を知れた気がします。そこで、170万かけたサイトをすっぱりと諦めて、次のサイトに取り組みました。
次はメルマガ広告に目を付けました。メルマガ広告は、色んな人が出しているけど、一体どこに出したらいいかわからないし、実際の成果はブラックボックスだと感じました。メルマガ広告を取りまとめるポータルサイトがあれば、需要があると思いました。しかし、当時は周りの全員から「絶対にうまくいかない」って言われたね。「何故、今さらメルマガ広告なんだ。市場が縮小してるのに。」と言われましたよ。僕自身の事業化できるだろうっていうかすかな希望に賭けました。結果として、今ではそのサイトは私たちの収入源になっています。成功した要因は「ネットビジネスの本質」を体現したとまでは言いませんが、先ほどの先輩経営者に言われた通りに、パートナーであるメルマガ媒体も顧客もネット上で集められることが出来たことだと思います。