誠実な人柄
株式会社グローバルニュートリショングループ / 武田 猛
理系なので4年生の春までは、白衣を着た仕事がしたいと考え、食品会社や製薬会社の面接を受けていました。その中で印象的だったのが、プリマハム株式会社の会社説明に行った際に、「武田さんは営業向きだと思います。
営業は大変そうに見えますが、本当に魅力的な仕事なんですよ」と教えられて、白衣の仕事を志望するのを辞めて、営業職を志望するようになりました。 内定は5つもらっていました。
その中で、長男ということと自宅から通勤できるということで、岐阜に本社のある「岐阜養蜂」という主に蜂蜜を販売する会社に入社しました。
はい。しかし小さな会社なので営業担当とはいっても何でもやります。配送をしたり実際に蜂の世話もしたりしました。蜂蜜は瓶に入っているイメージが強いと思いますが、移動はドラム缶に入れて4t車で行います。配送もしていたのでフォークリフトも扱えるようになりました。当時のお客様は養蜂家の方が中心でした。
養蜂家さんに養蜂資材などを販売するのが仕事でした。 しかし、私はルーティンワークが嫌いなのでいつもの仕事が「つまんないな」と感じ、行き詰っていた時期がました。
そんなときに、当時の専務が目をかけてくださり、専務と一緒に飛び込み営業をする事になりました。それは本当に楽しかったし、学ぶことも多かったです。飛び込み営業を重ねていくうちに門前払いを受けないために知恵を使う力を身に付けることもできました。
1980年代後半ににサントリーが「はちみつレモン」という大ヒット商品を販売した際、あらゆる会社がはちみつレモン味の飲料を発売するというブームが起こりました。蜂蜜の需要が高まる中、飛び込み営業を重ねていた経験から法人営業を任せて頂けることになった時には何がどう転ぶかわからないなと感じました。
はい。6年間岐阜で勤務した後に東京支店に転勤となりました。その頃、はちみつレモンのブームが終わり、会社の売上が急激に減少していました。
そこで何かをしなければいけないと考え、健康食品の受託製造へと方向転換しました。すると健康食品を小売店へと卸している業者さんとお話をする事になるのですが、マーケティングの知識がないと話になりません。これは勉強しなくてはいけないなと感じ、法政大学社会人大学院のマーケティングコースに入学しました。
仕事が終わった後、夜間の通学だったので非常に大変でしたが、かなり勉強していましたね。
「マイクロダイエット」などを扱うサニーヘルス株式会社に入社しました。今まではBtoBの仕事しかできなかったので、BtoCも経験したいと考え、入社を決めました。
多少は悩みましたが、東京で結婚して子供もいたので、関東に落ち着かなければいけないなと考えていました。なので、そこは割り切りましたね。
当時のサニーヘルスは「マイクロダイエット」が会社の売上の9割を占めていました。しかし一つの商品に依存するのは会社としてのリスクが高いので、新たな製品を開発するというミッションが私に与えられました。
健康食品の通信販売の会社は自社で研究所や工場を持たないところが多いので、大学の先生やベンチャー企業、海外などの外部から情報を得なければなりません。
そういう新商品の種を集めるのが私の主な仕事でした。
海外とやり取りをする中で、海外のコンサル会社と仕事をする機会がありました。そこの代表の方に「日本のパートナーにならないか。」と誘われたのがキッカケですね。
大学院を出ていたこともあり、コンサルという仕事は憧れでした。
また、サニーヘルスは急成長し、会社が大きくなっていました。私のような中小企業が好きな人間からすると面白くなくなってしまいました。本当に自分のやりたいことをやっていけたらいいなと考えて起業を決意しました。
健康食品に特化したコンサルティング業です。
具体的には、健康食品に関わるあらゆる問題の解決のお手伝いをしています。売れる商品開発をしたい、新規の素材を探したい、海外へ進出したい、売り上げが低迷してしまっているなど、健康食品に関する悩みは何でもお引き受けします。
健康食品は「怪しい、胡散臭い」と思われがちですが、アメリカではカルシウムやDHAなどの摂取を促すことで医療費が年間で1兆円ほど削減できるほどの経済効果があったという実例があります。
日本でも、女子栄養大学で葉酸というビタミンに目をつけ、キャンパスのある埼玉県坂戸市の市民に葉酸ブレッドや葉酸米を与えることで、医療介護費が2年間で22億円削減出来たという例があります。 病気にならない人が増えることで医療費が削減できます。
これは本来、食品の役目なんですよ。風邪をひいたときに風邪薬を飲んでも、咳を止めたりはできますが、風邪自体は治りません。しかし食品は、人間のそもそもの免疫力を高めて治りやすくする力を持っています。食品のもつ健康機能が正しく普及されれば間違えなく医療費は下がり、健康な人が増えるのです。
実は日本は世界一の長寿国ですが日本一の寝たきり国なんです。高齢者医療がどんどん増えるから医療費がかさみます。逆に高齢者が健康を維持すれば経済効果が上がるわけです。
そういう点で、健康食品業界を認められて尊敬されるような業界にしたいんです。そのためにも、この業界自体が力を持てるようにしなくてはいけませんね。
日本には健康食品に関する法律はないんですよ。正しい使い方を促進する法律がないので、そういう法律ができるように活動したいです。
これから、高齢化社会が進めば進むほど、新聞が読みにくくなる、階段がつらくなるなど健康が大切だと体感できるきっかけが増えてきます。なので、自然と意識は高まると思います。
また、今の日本では医者に行って薬をもらった方が安いんです。しかし、そもそも体を壊さないようにするため、食品による1次予防の重要性をもう少し伝えることが必要だと思います。医者というのは池にはまった人を救いあげる仕事です。私たちは池に入らないように柵を作る仕事をしています。
それは経済発展にもつながるという観点から、厚労省だけでなく、財務省や経済産業省ももう少し健康食品を気に掛けるべきだと思います。