感謝される仕事
株式会社アルファ・テン / 大久保 史春
はい。救われたのが前の会社を退社する際に社長から、「ビジネスはほとんどが失敗するが、やりたいならやるべきだ。ただ、やめる時に借金は残してやめるな」と言われていたことを守ったことですね。マイナスを作るとそこからゼロに持っていくのがとても大変です。しかしマイナスでなければもともとゼロなのでそこからプラスにもっていけばいいのです。 この言葉がずっと頭の中に残っていて実際に少しお金に余裕ができるくらいでやめました。もし、その言葉が無かったら、赤字になるまでやっていましたね。 自分がずっと望んできた音楽の仕事をやっと出来た店なのでかわいいですから・・・
社員を雇っていたのでその人たちの就職の問題です。不況でしたし、普通に考えたら小さなレコード販売店から転職なんてできないじゃないですか。その時に、人に対して責任をもつことの大変さと怖さを痛切に感じましたね。結局、2人いた社員は責任を持って支援をし、正社員として転職させる事ができました。このことは経営者として最低限の責任を果たしたなと感じました。
店をたたんだことで、旅でもしようかなと考えるくらい心が折れていましたね。そんな中で以前に勤務していた会社の人事部長の方から会社を手伝うように依頼され、引き受けました。そこで半年間ほど新卒採用のお手伝いをしていました。その経験から「企業が伸びるのは人だな」ということを凄く感じました。
面接や人事に携わる仕事をしているうちに、企業が継続的に成長していくためには人財しかないということを強く感じました。そこで、人事のコンサルになる事も考えました。しかし、ずっとコンサルティング会社で働いている人のスキルは断然違います。そこに後からいきなり入っていくのは利口ではないですよね。2回目の起業ですので、「想い」と「やりがい」と「収入」という3つのバランスについては、ものすごく考えました。税理士や社労士は顧問契約があるので毎月顧問料がいただけます。そこで収入の基盤を作りながら、常に新しいことに挑戦できる環境が整っている社労士はいいなと思いました。もう一ついいなと思った理由は、いいビジネスモデルは、みんながやりたいと思うのですが、社労士になるための試験の合格率は8%ほどです。なので、どんなに優秀なビジネススキルを持っていても合格しなくちゃ話にならない。つまり、競合が少ない。
開業して少しすると、社労士として生活ができるようになりました。そこで本当に社労士が取り組まなければいけない事は、人を活かし、人視点から経営を支援すべきだと痛切に思うようになりました。その中のひとつに社労士業務の1つである「就業規則」があるのではないかと同時に思いました。就業規則があるのにトラブルが起こるのは何故でしょう?それは、会社が社員とのトラブルが起きたときに就業規則を後出しじゃんけんのように使っているからなんです。そもそも「第○○条 〜〜」といった内容で記載されていますので、とても一般社員は理解しにくい。そこで、わかりやすい就業規則を作成し、社員が読んで簡単に理解することができれば、トラブル少なくなるんじゃないのかと思いました。 本来、就業規則は「後出し」ではなく「予防」のためのものなのです。
就業規則とハンドブックの作成ですね。当初は就業規則を漫画にするところから入ったのですが、会社が社員に本当に伝えたい事はルールだけではないと思うんですよ。私たちは会社の経営者の考え方も伝えた方がいいんじゃないかと考えました。経営理念や会社の未来像、社員に求める能力など、会社の基本的な考え方を社員に伝えるということは、非常に重要です。 私たちは就業規則という単に働くルールだけを伝えるのではなく、会社の目標や経営者の想い、子供が産まれてからの知識、給料から引かれているお金の使い道のことなど、会社として知っておいてもらいたいとを一冊の冊子にして伝えていくことを事業としてやっています。 アルファ・テンの経営理念は「つたわるをデザインする」ですから・・・
10個の「+α」を生み出そうという想いが込められています。今でしたら、就業規則をわかりやすく伝えて社員を活性化しよう!というのが1つですね。 残り9個の+αを、スピード感を持って生み出していきたいですね。