仲間のためにも独立を決心
東京中央総合法律事務所 / 河本 智子
弁護士を志した時の仲間と、いずれはみんなで一緒に法律事務所をやろうと約束をしていたんです。
それぞれ別の事務所に勤務していたんですけど4、5年後には集まって事務所を作ろうと決めていました。弁護士になってすぐに勤務していた法律事務所はもの すごく忙しくて、充実はしていたんですけれども、基本的にはボス(代表弁護士)から指示された事件の仕事しかできなかったんです。事務所の事件ではなく個 人で受任する事件はほとんど出来ませんでした。そこで5年経って仲間と集まって事務所を設立した時に、自分だけ個人顧客がいない状態ではついていけない、 事務所経営という点で顧客がいないまま合流するのは迷惑をかけるんじゃないかと思いました。それで、まずはリスクが少ない1人でやろうと思い独立を決心し ました。
時間を自由に使えるということが一番ですね。
以前勤務していた頃のように、ボスよりも早く出社しようとか遅く退社しようといった気を使うことがなくなりましたし、勤務弁護士の頃はかなりの事件数があ り、1つの事件にかける時間も少なくて限られていたので、独立したての頃は事件数も少なかったので1つの事件に丹念に取り組めたのは良かったです。また丹 念に仕事をしていくと、紹介で依頼者が増えて徐々に仕事を頂けるようになり、自分の力で仕事をしていることが実感できたのも良かったです。どうしても事務 所に所属していると自分の力で依頼者を増やしていくという機会がなかったですね。
そうやっていくうちに、事件を解決した依頼者の方から直接「ありがとう」と感謝の言葉を言われた時は、やっていて良かったと思いました。どんなに辛い仕事でも最後にお礼の言葉を頂けると、嬉しいですし、次も頑張ろうとモチベーションにも繋がります。
特に苦労したことはありませんでした。
苦労とは少し異なりますが、士業全般に言えることかもしれませんが、顧問料以外は定期的な収入はないんですよ。月によって収入に波があるので経営者として の視点では心配することはありました。けれど食べていけなくなるということはなかったのでそこまでの不安ではなかったです。主人が同業者ということもあり、悩みがあっても近くに相談できたり、一緒に法律事務所を設立しようと約束した仲間に頻繁に会ってモチベーションを維持したりと、周囲の環境が良かった ことが大きな苦労を感じなかった理由かもしれません。