感じたままに行動すれば良い
らいおん建築事務所 / 嶋田洋平
最初は明確なビジョンはなかったです。目の前の仕事をしていくうちに、社会の課題である、新しい建物の必要性に対する疑問を持つようになりました。そして、既にある建物をうまく利用しようという考えに至り、最終的に「まちづくり」の新しい方法になっていました。地域のリベノーションをやろうという考えになってきました。つまり、小さくてもよいから、実践を繰り返すことによって、考えが明確にシンプルになっていって一つにまとまってきたのだと思います。
今までのまちづくりは、「みんなの」合意のもとで進められるのだと考えられてきたと思います。でも、そもそも、多様な人が住んでいたり関わったりするエリアで、全員の合意なんてできないのです。だから、何も進まない現状がありました。僕は、市民がお客さんのような態度を取るのも間違っていると思います。自分たちのまちでみんなが違う価値観を持っているのだから、自分たちで欲しい暮らしやまちを市民自らがつくっていく時代になったと思います。
当事者マインドを持って生きていく方が楽しいし、幸せだというのを見せつけるしかありません。「お前もっとやれ」というのではなく、まずは自分がやる。そしたら、周りの人の意識が代わり、一歩踏み出してくれるようになります。別にコミットしてもらおうとしているわけではありません。無理やり引き込むのではなく、「こんな暮らしは楽しい」って思ってもらうんです。
僕たちのビジョンに賛同した人達がすこしづつ増えていき、そうやってできた成果が新しいまちや暮らしをつくっていくと思います。当事者マインドを持っていない人には、どんな説得よりも具体的な楽しい結果を見てもらうのが一番だと思います。自分のまちのことを、自分のこととして考えることが大事な時代だと思います。今は、人口が減少して税収も減る中で、行政に頼るのではなく市民が自立して、自分たちでやる時代だと思います。
考えていてもあまり分からないことが多いから、考える前にとにかくやってみてください。それから考えれば良いんです。大丈夫、失敗しても死なないから。