感じたままに行動すれば良い
らいおん建築事務所 / 嶋田洋平
最初に入社したところでは、ボスが4人いて、人によって優先順位が違うし、それぞれ言っていることに統一性がないと感じてしまいました。だから、何をしても誰かから別の指摘を受けたりして、最初は困りました。ですが、その時の状況をネガティブに捉えたら、とことんネガティブになって、終わりがないと思ったので、ポジティブに考えるようにしました。自分が考え込んでしまうと病気になってしまいますが(笑)、僕は、逆に4重人格の一人の病気のボスがいると考えるようにしました。そしたら、少々理不尽なことがあっても、悪く捉えずに仕方がないと受け流せます(笑)。今の状況をどうポジティブに捉えるかは、結局は自分の考え方次第です。
また、その時にコミュニケーション能力を身につけました。学生の頃は先生は学生にうまく伝えようと話してくれているのです。そういう意味ではとても親切ですが、社会に出るとそうでない場面が多いです。
相手は、仕事や進め方や指示に優先順位をつけてなんてくれませんし、時に乱暴な指示がくることだってあります。多くの若い人たちはそれにびっくりしてしまう。でも、そんな時は気を病まずに「そんなもんだよ」って考えれば良いと思います。
僕はみかんぐみで、ボスやクライアントとのやり取りの中で、人が本当に求めていることをうまく捉える力を身につけました。その人が本気で言ってないと判断できたり、どの仕事を先にするべきなのかとかが、少しずつわかってくるようになりますよ。
そうですね。その時に辞めないで、残るのにモチベーションを保てた理由として、どんな時も「美しく辞める」という前提があったからです。会社を辞めようとした時に、きれいに辞められないぐらいなら、後延ばしにしようと思いました。それは、父から言われてきたことで自分も賛同しています。せっかく一緒に働いていたのに、人間関係がその時に途絶えてしまったらもったいないです。人間関係は大切ですから。
前職では、自分の仕事に対する考え方が、会社の考えと違がってきたのでやめようと思って独立しました。みかんぐみは建築のデザインという領域で「わくわく」すること追求することを仕事にできていました。今は自分は目の前の課題やそれが接続する社会の課題を楽しく解決することが仕事になってきました。
「人口が減少している日本で、新築を建て続けている現状」があります。僕は「今既に建っているものをうまく活用するということが仕事として求められている」と思いました。今の日本では、建設・住宅産業をなんとか維持してしていくため、本当だったらいらないはずの建物が建てられていりのではないかと感じることもあります。無理やり生かされているのと同じ状態で、長続きはしないだろうと思います。だからこそ、建築を仕事にしてきた人が「新たに建物を建てるのはやめましょう」と言うのが重要ではないかと感じています。
実際のところは、とても難しいですけどね。目の前に建築を新しく作るの仕事が舞い込めば、建築家としては、それをやりたいですし、それで食べていますから。でも、これから先の社会の全体のことを考えることも大切です。また、そういうことが出来る倫理観を持った人材が求められているとも思います。今までの仕事に囚われずに、他の仕事で建築家が生きていけるようになるのも重要ではないでしょうか。