昆虫食伝道師として生きる 〜地球少年の軌跡〜
地球大好き少年 慶應大学商学部1年 / 篠原祐太(20)
僕は、昆虫食の可能性を本気で信じています。人口がどんどん増えているこの地球。将来的に、食糧難や環境問題が今よりも深刻化するのは必至です。その中で、「虫を食べる」ことがそれらの解決に繋がり得ると考え、その可能性を研究しています。そして、その中で、昆虫食をもっと多くの人に知って欲しいと感じ、普及する活動を始めているところです。他にも、コミュニケーションツールとしての昆虫食、食育の素材としての昆虫食等、昆虫食の可能性は無限だと思います。今まで殆ど手をつけられて来なかった分野だけにやり甲斐も強く感じますし。
昆虫食伝道師として活動を始めたきっかけですが、昨年の国連の機関による「昆虫食のススメ」という報告書ですね。以前から、生き物が異常に大好きだったので、生き物で何か出来ないだろうかと漠然と考えていましたが、それが確信に変わったのがその報告書でした。昆虫食に大きな可能性を感じ、これは本格的にやるしかない、と閃きを感じました。因みに、虫は4歳の時から食しています。最初は何となく虫を食べたんだと思います。そしたら意外と食べれるなって(笑) 他の虫はどんな味なんだろうと思って、ひたすら虫を探しては食べていました。好奇心が本当に強いタイプなんですよね。「昆虫食伝道師」として活動することは、異質なことかもしれないですし、周囲から止められたりもしましたが、何かを始めたら極めきりたい性格なので、今後も、昆虫食の可能性の探求に全力を注ぎ、昆虫食で愛する地球を救うという目標に向けて、努力していきたいと思っています。
僕は、昆虫(食)の研究者と一般の方とを繋げる架け橋の様な役割を目指しています。国連の報告書以降、世界的にも昆虫食の研究は活発化して、とても良い流れだと思っています。ただ、研究者というのは、一般の人からは距離的に遠い存在ですし、普及させようというマインドが不足しているきらいがあります。そこで、そうして研究者の方々の成果を上手く一般の人々に伝えていくことが不可欠だと感じていて。両者の橋渡しをしたいなって思っています。そのためには、学術的な観点での昆虫食の探求に加えて、より現実に即した部分の経験を積み重ねることも不可欠だと思います。今までは、日本国内での昆虫食の実践がメインでしたので、今後は、海外の昆虫を食べる国(約20億人が昆虫を常食しているとされている)に行って、現地の昆虫食を肌感覚で理解したいです。旅行者としてというよりは、現地の人になる位の感覚で。そして、そういう経験を発信出来ればな、とも考えています。書籍として出版したり、映像として残して発信していきたいです。ポジション的には、動物で言うムツゴロウさん、魚で言うさかなクンに近いと思います。最初はタレントチックな方向性で行く方が、最終的な目標への最短距離を歩めるのでは、と考えました。ただ、最終的には世界の昆虫食の研究者や昆虫食のプロジェクトと上手く協力して進めていきたいと考えていて、その為には学術的なバックグラウンドも必須だと感じます。国内外問わず昆虫食の実践機会を増やすことに並行して、学問としての「昆虫食学」も探求していきたいです。一言で昆虫食と言っても、人類学・生物学・地理学・昆虫学・心理学・栄養学・開発学・歴史学等、多様な学問が複合的に絡み合っています。ですので、そうした幅広い学問を学びながら、総合的な「昆虫食学」を構築出来ればなと考えています。
基本的には、都内で仕事をする傍ら、読書や勉強で自分を高めたり、自然と戯れたりする日々です。僕は地球のことをこよなく愛していて、地球ともっと親しくなりたいんです。ですので、頻繁に野宿をしていて、実家にはあまり帰らないです。家で虫を40000匹ほど飼育しているので、その世話をするためにたまに帰宅する程度でしょうか。実家も高尾の山の中にあるので、実家に帰っても野宿みたいなものですけどね(笑) 実家も、周りは360度自然ですので。地球好きな僕にとってはこれ以上ない環境です。そんな感じで、自然に寄り添って生きてきたお陰か、最近は、動植物とコミュニケーションがとれるようになったんですよ。例えば、家で飼っているゴキブリにしても、彼らが食べたいと言ったものを餌としてあげるようにしています。最近は、僕の食費よりゴキブリのエサ代のほうが高いくらいです。
はい。僕は毎日生きている虫を食して生活していますが、彼らを踊り食いする時も、コミュニケーションを取りながら食べています。敵対心を持って「お前、食べてやる」って食べるわけでは全くないです。信頼関係を築いた上で、「君が好きだから一緒になりたい。君の分まで頑張って生きるよ。虫の地位向上に向けて頑張るね」って感じで話しかけて食べているんです。そのことは、彼らもよく理解してくれています。