番組制作業界に革新を起こす起業家
株式会社さんばん代表取締役/ 柴田 紀之
テレビ局側の意向により、テレビ業界は派遣社員がどんどん増えており、我々のような番組制作会社の構成員は派遣社員化されていきそうな流れになりつつあります。
これまでの番組制作会社は、自分たちの作った番組の「放送できる権利をテレビ局に売る」という方法で商売をしてきました。
この方法は著作権を売っているわけではないため、例えばテレビ局が再放送や、DVD化を行う際には我々に著作権料を払わなければなりません。しかし、近年テレビ局は著作権料を支払う必要を無くす方法として、テレビ局内で番組制作を行い、自分たちで著作権を持とうとするようになってきたのです。つまり、テレビ局は番組制作に必要な人員を、我々のような番組制作会社で働く社員を派遣社員として雇うことで補い、テレビ局内で番組を作るようになったのです。
これでは我々下請けの番組制作会社には著作権が残らないばかりでなく、社内でスキルやノウハウのある社員へと育てていく機会も失われていきます。
このままでは番組制作に必要な社員を派遣するだけの会社になってしまうかもしれません。実際今のニュース番組や生放送の番組のほとんどは派遣社員によって作られています。NHKは業務委託という方法で我々に著作権が残らない仕組みを取るようになりました。このまま派遣化が進むと、経験の浅い番組制作の社員には仕事が回らない状況にもなりかねず、業界全体で見れば良くない方向に向かっているのは明らかです。
会社のビジョンとしては今後はもっと番組を作れる人員を増やしていく必要性を感じています。番組制作会社は過酷な労働環境になりがちなため、余程の熱意がないと続きません。日本の番組制作会社は「帰れない」、「キツイ」、「給料が安い」の新3Kと呼ばれるほどの業界です。実際締め切りに間に合わせるため、家に帰れないことも多いです。そんな中で番組制作会社で長く働ける人というのは「良い番組を作るためなら二徹三徹は気にならない」という根っからの番組制作意欲に溢れた人です。
しかし番組制作会社に新卒で入ってくる方々は「何となく楽しそう、何とかなるだろう」という軽い気持ちでいる人が大半なため、実際の現場を体験すると長続きせずに会社を去っていく人が非常に多いのです。そういった事情から、なかなか人員が増えないという問題が起きています。
弊社は同業他社と比べれば離職率は低い方だと自負していますが、それでも人員不足は深刻な問題になっています。人が育たないことには会社の未来はありません。
だからこそ「良い番組を作れる人員が増えるための仕組みづくり」というのが我々の急務のビジョンですね。
いろいろなジャンルの本を沢山読んだり映画を観たり、様々な場所へ行っておいた方が良いです。学生の特権は時間があることなので、今のうちに自分の知らない世界に触れる機会を沢山作っておくと良いと思います。番組制作と関係の無いようなことをしている人の方が意外と番組制作に向いているケースも多いです。バックパッカーになって世界中を旅するのもオススメです。学生と面談をしていると、月1本映画を見るくらいで「映画が好き」という人がいるのですが、プロの世界では月300本以上の映画を見るのも珍しくありません。例えば、本が好きなら「世界文学全集は全て分かっています」と言えるくらいになっていて欲しいですね。将来この業界で本当に長く働きたい学生は、学生時代でしかなかなか経験できないようなことに「圧倒的に打ち込む」と良いと思います。
本記事の作成者:佐賀 智之
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