0から価値を創るもの以外やらない
株式会社ビズリーチ / 株式会社ルクサ / 南壮一郎
2009年、管理職やグローバル人材に特化した日本初の求職者課金型の転職サイト「ビズリーチ」を開設。ビジネスプロフェッショナル、企業、各業界に精通したヘッドハンターの三者を最適かつ効率的にマッチングするプラットフォームを提供。
その後2010年には、高級商材に特化したタイムセールサイト「LUXA(ルクサ)」、2012年には、シンガポールを拠点とするビズリーチのアジア版「RegionUP」、2013年にはIT・Webエンジニアのコラボレーションツール「codebreak;」を次々と立ち上げる。
1999年、米・タフツ大学数量経済学部・国際関係学部を卒業後、モルガン・スタンレー証券・投資銀行部に入社。その後、PCCWグループ日本支社立ち上げに参画し、2004年には、楽天イーグルス創業メンバーとなり、50年ぶりの新規球団の創設に携わる。
ビズリーチにはいくつか事業があります。そのなかでも会員制転職サイト「ビズリーチ」では、日本の人材の流動化を促進させることを目的としています。企業が直接求職者のデータにアクセスして、主体的に採用活動をできるように、ビジネスプロフェッショナルのデータベースを作っています。「ビズリーチ」では、企業がこれまで人材紹介会社にお願いしていたタスクを、求職者のデータベースに直接アクセスすることで、欲しい人材を探してスカウトできるようにしていますが、この手法は海外では一般的で、「ダイレクトリクルーティング」と呼んでいます。楽天市場の事業にも似ていますね。楽天市場が存在する前は物を売りたい人と買いたい人が直接繋がる術があまりなかった。これは、採用業界も同じで、採用したい時に双方の立場において自分で探す術がなかったんです。ただ、インターネットの発達によって求職者のデータベースをつくり、そのデータベースを企業に解放することによって、企業が求職者に直接繋がれるようにしました。
2つあります。1つは、自分の転職活動が不便だったことですね。僕が5年前に転職活動をしている時に、1ヶ月で、27社の人材紹介会社に話をしに行きました。全員が、「南さんにぴったりの案件があります」と売り込んできました。ただ、全員が違う仕事を提案してきて疑問を感じました。それで、ビジネスモデルを調べてみると、それぞれの人材紹介会社が持っている案件しか紹介されないことがわかり、一度きりの人生の大切な選択にも関わらず、機会損失だと感じました。逆側も同じことが起こっていて、企業も人材紹介会社が持っている中で選ばなければいけないというのは、非効率ですよね。それならば、1つのマーケットプレイスで求職者と企業が直接やりとりすれば、より効率的に採用が行われるのではないかと考えました。
自分をユーザーとして仮定した方が、いろいろなものが想像できるので、それは1つのやり方かもしれないですね。ビジネスはシンプルだと思っています。世の中の不便や非効率を便利にしたり効率的にすれば、それは一つのビジネスですよね。世の中にあるサービスって殆どそういうものだと思います。実体験からサービスを作ることも、ありだと思っています。
僕は、幼稚園から中学校まではカナダで育ち、高校は日本の公立の学校で、大学はボストンの大学に行っていました。小学生のころから大学まで、サッカー部だったんです。大学でもサッカー部でサッカーに打ち込んでいました。
高校2年生から高校3年生に進級する春休みに、とある雑誌の表紙が目につきました。そこには、世界の大学ランキングと書いてありました。ちょうど、受験が始まる前だったので、興味があって見ていると、東京大学が40位くらいで、上にはアメリカの大学ばかりでした。アメリカの大学が上にいるなら、そちらを目指した方が良いなと感じました。それが、きっかけになりましたね。
世の中には様々な価値観があって、1つの価値観や考え方だけではないことを知れたのは、大きいですね。語学力ではないです。日本が単一民族国家ということは、世界の中で特殊なのです。海外では、多種多様な民族が、多種多様な価値観を持って生きています。自分はそういう環境の中で育ててもらったので、自然といろいろな価値観があることを知り、それが性格の根幹にあります。そういう環境で育ててくれた親には感謝しています。1つの価値観が普遍ではないことを知ったので、自分の意見を持つきっかけにはなりました。