「想い」は伝えていかなきゃ意味がない
NPO法人 near design 代表 / 佐藤真実
高校からデザインの勉強をはじめ、大学では観光地や商店街の活性化を目的としたイベントデザインを専攻。就職後は商業施設のチラシやポスターのデザイン制作だけでなく、館内装飾やイベント企画・運営等幅広く担当し、2013年にgranew design(グラニューデザイン)として独立。まちづくりを目的としたNPO法人near design(ニアデザイン)を立ち上げ、市民団体やNPOの広報物デザイン制作だけでなく、市民活動向けのデザイン講師を務めたり、クラウドファンディングを使った活動資金調達や、空き店舗の活用など、まちづくりに関する様々な活動を行う。
【near design ホームページ】 http://www.neardesign.info/
【facebook】https://www.facebook.com/neardesign.saitama
学生時代は、「起業する」なんてことは全く意識していませんでした。ただ、小さい頃から絵を描くことが好きだったので、「そういった関係の仕事で食べていきたい」、ということを、なんとなく思っていた程度です。ですから高校生の時、進路を決める際も「デザインを使って社会貢献ができたら楽しいだろうな」という漠然とした思いで、美術大学を選んだのです。
入学してからは全く勉強していませんでしたね(笑)ただ、学校の勉強以外のことをたくさんやりました。イベントの企画をする事が大好きだったので、学祭の実行委員をしたこともあります。そこでは自分たちでお笑い芸人を呼んだり、ライブの企画をしたりしました。それから、バイトもたくさん経験しました。パン屋、歯医者、ボーリング場、ゲームセンター、寿司屋、イベント企画会社など…自分の興味あるものにはどんどん挑戦した記憶があります。
near designは、埼玉の「人と人をつなぐ活動」を行っています。市民団体の活動などを紹介するフリーペーパーを作ったり、最近では、いわゆるシャッター商店を再生するプロジェクトを行ったりしています。
フリーペーパー「かいわい」は、埼玉の情報を広く知ってもらうことが目的です。ここで取り扱う情報は、誰もが「こんなのあったの?!」と思ってしまうような、かなりニッチなものです。見た人が驚いて、「気になる」「行ってみたい」と思えるような情報を発信していければいいと考えています。
また、シャッター商店の再生プロジェクトでは、さいたま市内の老舗お惣菜屋である「小松屋」を、地域交流の場として再生することを試みています。このプロジェクトは「地元の人たちが直接つながることのできる場を作りたい」という思いから始めました。色んな人が出会う場所にして、そこで化学変化が生まれる瞬間を見たいと思ったんです。
「埼玉の市民団体の活動をもっと広めたい!」と思ったことがきっかけです。大学卒業後は、駅ビル内ショッピングモールの販売促進の部署に勤め、イベントの企画を行っていました。そこで、自分が企画していたイベントに参加してくれる一般の市民団体を探すことになったんです。埼玉の公民館やコミュニティーセンターなど、片っ端から回っていた時に、とある施設に登録している市民団体の数が、1400団体いるということを知り、ものすごく驚きました。その施設に登録しているだけで1400団体ということは、他にはもっとたくさんの団体がいるということです。
でも、その市民団体のチラシを見ていたら、デザインがどうも気になってしまって…。「内容があまり伝わってこない」という印象を受けたんです。それが非常にもったいないと思いました。「彼らの活動内容や魅力をもっとうまく伝えられたら、市民団体が活躍できるのでは?」と思いました。それがきっかけで、デザインを使って埼玉の市民活動をお手伝いするnear designができたんです。