「地元の食材を伝える!固定費、人件費ゼロ!?新飲食ビジネス「BBQテラス」とは?」
株式会社リンクアグリゲーション 山崎 繁幸
<経歴>
1979年12月28日 愛知県 生まれ 飲食店検索サイト最大手 株式会社ぐるなびに13年間在籍し、外食産業の構造や流行る飲食店の経営ノウハウを学ぶ。また、企画開発本部時代には様々な外食産業向けコンテンツの開発やリニーアルに従事し、新しいビジネスを発想する柔軟な企画力を養う。2014年より、食材プロモーション部門にて全国の生産者をネットワークしシェフにつなぐ事業に携わり、国内の素晴らしい食材と優秀な生産者に出会いBBQ TERRACEのビジネスモデルを構想し、ぐるなびを退社。2016年6月に「生産者と消費者の距離を近づる場」 を コンセプトにBBQ TERRACE 1号店となる七間町テラスを静岡市中心部に開業。その後、約1年間で静岡県内に8店舗を展開。2017年には、SOHOしずおかビジネスプランンコンテストで最優秀賞を受賞。2018年 春からは、神奈川、千葉、名古屋、佐賀へBBQ TERRACEの展開を広げ、新業態の静岡茶の魅力を伝えるCaféもオープンする。
現在「BBQテラス」を運営しています。主にBBQを通じて地元の食材をお客さんに楽しんでもらう仕組みを作っています。私たちの事業は、通常の飲食店・飲食事業として見られがちなんですけど、この事業は「シェアビジネス」です。収益構造自体が飲食店のビジネスモデルとは異なります。そして展開の仕方がFC(フランチャイズ)展開です。だからFCのオーナーを集める必要があります。そのFCオーナーのターゲットはビルの所有者であったり倉庫の所有者です。
要は僕がどこを狙っているかというと、普段は使われていない遊休地を狙ってるんです。空いてるスペースを所有している方とタッグを組んで、その空いてるスペースにBBQというコンテンツを作る。そしてその場所にBBQの食材が生産者から直接届くような仕組み、そしてその場所にお客さんが来る流れを作る。この3つを作っています。そうすることで売上がたつ。その売上をオーナーとシェアするビジネスです。
それでは、わかりやすいように、通常の飲食店と比較しながら説明していきますね。通常の飲食店の売上の内訳って、簡単に人件費、固定費、食材費がかかります。売上から今挙げた3つを引くことによって純利益となります。そして通常の飲食店の収益モデルは人件費30%、固定費15~20%、食材費30%、そして純利益10~15%くらいだと言われています。
しかし私の事業にはそのビジネスモデルが全く当てはまりません。まず、固定費である家賃はパートナーである所有者の遊休地を利用するため、固定費の大部分を占める家賃というものが存在しません。既存の労働力をそのまま活用するだけなので、人件費も余計に必要ありません。人件費に関しても既存の労働力をそのまま活用するだけなので、余計に必要ありません。最後に食材費も目安として、食材原価率43%に設定しています。これは通常の飲食店の約1.5倍です。私たちのビジネスでは生産者からいいものを直接仕入れるので、同じ値段でも他よりいいものを提供できます。
具体例をあげると、ビルを所有しているおばあちゃんが一階でタバコ屋をやっているとするとします。屋上でBBQをするときに、おばあちゃんが受付と案内をする。オーナーの方がやることって、近しいものでいうと、カラオケボックスの受付。おばあちゃんが空いてる時間に準備と片付けをすればいい。食材は一切調理をせず、真空状態で生産者の方から届くものをそのまま渡す。という流れになります。だから私たちが費用として計上しているものは諸経費として4%程度です。つまり、売上の57%が純利益となります。この売上をオーナーと私たちでシェアしている形になります。
最近似たような業種が東京を中心に増えてきているのは耳にしたことはあります。でもまだまだ圧倒的に飲食店と比べて、業界として競合が少ないんですよね。だからうちは広告宣伝費にお金をかける必要があまりないんですよね。SNSを中心に口コミで拡散してもらうようにしています。そして差別化を図る上で、最も重要なのはBBQをする場所と食材の生産者は同じ地域になるようにしています。生産者が生産したものをその地の人が消費する。地産地消は私たちが強みとして出している部分です。現在、神奈川、福岡、愛知、広島、佐賀で展開しています。今年から沖縄も展開が決まっており、これからもっと増やしていく予定です。
BBQテラスの予約は、インターネットでしか予約を受けていません。ネットでお客さんから予約が入ると予約カレンダーが食材生産者とオーナーにシェアされるようになっています。人数に対して、あらかじめ食材の量を決めているため、生産者は決められた日に食材を納品するだけです。予約日の前日に食材がオーナーに届くようになっているので、もしオーナーの方が予約のことを忘れていたとしても、食材がリマインダーの代わりをしてくれています。僕らはもう仕組みは作っているので、予約が入るように努力をすればいい形になっています。私たちBBQテラス側としても食材の発注業務もなく、その場でお客さんが食材を使い切るので廃棄であったり、後処理の手間もありません。
ビアガーデンのように、百貨店の屋上のような場所で開催するため、どうしても固定費が高い現状があります。人件費がすごく大きなコストになってしまっているんで、利益を出すために削られるコストって食材費になっています。だからビアガーデンの食材原価率はかなり低いです。私たちはいい食材を使っているところが、1つの強みです。たぶん屋上で食材を扱っている中で、私たちの食材原価率が一番高いと思います。笑