the Entrepreneurライターが選ぶ成長企業50選Part9
強いエネルギーを持って会社経営に臨む
the Entrepreneurライターが選ぶ成長企業50選Part9
強いエネルギーを持って会社経営に臨む
昭和26年1月9日 秋田県出身
高校卒業と同時に上京し、自動車メーカーの設計士として入社。
入社から3年が経った頃、アメリカのシリコンバレーで働く友人からの勧めで会社を辞め渡米。
その当時、日本の自動車設計は手書きで行われていたが、ハードウェアの開発が進んでいたシリコンバレーで衝撃を受け、コンピュータの将来性を痛感する。
帰国後、友人から教わりながら勉強をし、ゲームの解析を行う。
ゲーム会社に入社後は様々な開発タイトルに携わり、1986年、株式会社アイ・ティー・エルを設立する。
昭和61年11月22日 神奈川県出身
中京大学 体育学部卒
小学校から野球を続け、中学、大学と全国大会にも出場。
大学卒業後は父の会社に就職し、未経験から開発業務に携わり経験を積む。
入社から4年後、取締役に就任し現在に至る。
現在では経営者として開発現場の未来を考え、「人」に重点をおいた会社経営を目指している。
【事業内容】
コンシューマー用ゲームソフト企画・開発/受託制作
モバイルコンテンツ企画・開発/受託制作
パチンコ・パチスロ液晶表示ユニットのソフトウェア企画・開発/受託制作
PDAコンテンツ企画・開発
【ホームページ】
https://itl.ne.jp/
(正)難しい質問ですね。ある意味、学生という早い時期に勉強しながら起業するのも一つの手だろうし、経験積むということも必要なことです。足して2で割るようなものじゃないかと思います。
(壮)私も時期に関しては、自分がやりたいと思ったらいつでも起業していいとは思うのですが、要は起業したいと思う動機が大切だと思います。そこがきっちり定まっているのかどうかですね。ただ単に社長になりたいからという理由で会社をずっとやっていけるほど甘くはありません。会社は従業員の人生やその家族の人生を背負うという意味で永続経営を目指すべきものです。自分で会社を起こして何をやりたいのかという志をはっきりさせれば、在学中だろうが就職してからだろうがいつでもいいとは思います。
(壮)私は断然遊ぶべきだと考えています。社会に出たら忙しくてあまり遊ぶ時間はありません。多くの社会人は、学生の時にもう少し遊んでおけばよかったという気持ちがどこかにあるものです。本当に遊べる時期は学生の時で、社会に出てしまえば嫌でも働きますし忙しくもなります。遊びの中から学べることは非常に多いのでとことん遊んだらいいと思います。
(正)僕の場合は最悪な学生時代を過ごしましたね。とにかくお金がなくて貧乏でした。僕の年代で裕福な学生ってあまりいなかったんじゃないかな。だからその部分を聞かれても、あまりにも今の学生生活からかけ離れているので参考にならないかもしれません。当時の住んでいた家には電気も通っていなかったので、自分で電気を通したりもしましたね。逆に言うとそのぐらい切羽詰まった環境だったから、何事に対しても真剣になって本気で取り組めたのかもしれないですね。
(壮)私の場合は行動派です。基本は、なんでもやってみなければわからないという考え方があります。100人いれば100通りのやり方があると思いますが、同じやり方をしたからといって、うまく行く/行かないというのはその時代やタイミングによって変わってくると思います。そうであれば、いちいち考えるよりもやってしまった方がいいと思います。考えても結局は答えが出ないので私は行動派です。
(正)僕の場合は思考派とも違いますが、まずは友達に聞きますね。私の友達はだいたい目上の方で会社経営をしていらっしゃいます。だからいろんな業種の人の意見が聞けます。「これをやろうと思っているんだけれども、どう思う?」と聞くと即決で答えてくれますね。
(壮)タイプで考えるなら私は営業だと思います。お客様と接している方が好きですね。もともと入社後、最初は現場でみっちりやっていました。その時から開発タイプというよりは営業タイプでしたね。やっていた仕事内容自体は開発のディレクションなのですが、受託の仕事なので最終的にお客さんに見せなければならないという意識を持って仕事をしていました。その時から自分の気に入ったものを作りたいというよりは、どうやってお客さんの期待に応えられるか、どうやって見せるかを考えていました。それを考えると営業タイプだと思いますね。
(壮)私自身は自分のことを冷静タイプだと思っているのですが、従業員に聞くと情熱タイプだと答えると思います。もともと野球をやっていたということもあり、考え方に熱い部分があるのだと思います。しかし、それが本当に必要かどうか、なぜそのような考え方をしなければいけないのか、は冷静に考えています。全てについて根性論というよりは、本当にその根性論が必要か、そうでないかを考えているので、自分の中では冷静です。
(壮)IPOは今は考えていません。しかしながら次の質問にも関わるのですが、状況次第です。
(壮)ゲームの受託開発という業界は、自ずと海外展開を視野に入れていかなければならない業界です。もう日本だけの市場では留まらなくなってきました。事業内容や業種が違えば自社商品を海外に「展開」しなければならないのでしょうが、ゲームは「自動的に海外へ展開される」業界です。開発したゲームをアプリのストアにアップするだけで海外でもリリースされることを考えると、海外展開を考えるというよりも、海外流通を見据えてものづくりをしなければならなりません。例えば、日本では3頭身のキャラクターが好き好まれますが、欧米ではリアル頭身のキャラクターでないと流行らないなどの地域性があります。そこまで組み込んで方向性を決める企画会議などは行います。また予想外に海外でダウンロード数が伸びることもあります。そういった意味で市場のチャンスはどこからやってくるかわからないので、そのチャンスがつかめれば前の質問のIPOも考えなくてはいけない状況になるかもしれません。
(正)僕は最近までよくゴルフをしていましたが、今はよく家にいます。
(壮)私は今でも野球シーズンになれば、母校の野球部の試合を見に行ったりしますよ。その他でも家でじっとしているのは好きではないので、大体どこかに出かけたり、買い物に行ったりしています。金曜日や土曜日の夜には友達と飲みに行ったりすることが多いですね。だから社長とはまるっきりタイプが逆ですね。
(正)僕は今でこそ家にいますが、やはり若い時にはずっと仕事していたので家にいることはなかったですよ。
(壮)基本的に、人に憧れるタイプではないので尊敬する人やすごいなあと思う人はいないです。ただ、経営者として一番参考にしているのは父親であり、社長ですね。今では両親にとても感謝しています。私は親孝行や親を大事にすることは当たり前のことで、そういう人間であるべきだと思っているのですが、両親への感謝の時期が父と母で違っていました。小学校・中学校・高校は、お金のことに関わらないので、父親が仕事をどれだけ頑張っていてどれだけ稼いでいようとも関係のないことでした。興味がなかったのであまりそこに感謝は行かなかったですが、逆に母親の方には感謝が大きかったですね。大学時代に一人暮らしした時、日頃やってくれていることを自分でやることになって、こんなに大変なのかと実感しました。それで最初に母親の方に感謝が行きましたね。そして大学卒業して働いてから初めて父親に感謝しました。働くとは、こんなに大変なことなんだということに初めて気づきました。
(壮)私が小さい頃に父親から言われて覚えている言葉があります。それは「生きたお金の使い方をしろ、そしたら必ず自分に戻ってくる」ですね。お金を人の為に使ったり人が喜ぶことに使ったりするということですね。経済はお金が回ることなので、人のために回しなさいということなんだと思います。あと、「学校の勉強は社会人になって一つも役にたたない」というのも覚えています。因数分解を覚えるくらいなら道徳を覚えろと言われていました。これは、幼少期の時に親や先生に言われた挨拶や素直な気持ちを大人になってもずっと実践できるかどうかということだと思います。この2つの言葉は、私が社会に出てみてから腑に落ちましたね。経営側になってからもこの言葉の深さを実感してきますし、それを当たり前にできる人が素晴らしい人なのだろうなと思います。そういう意味では父親の背中は見ていないですけど、伝わるものは伝わっています。
(正)そんなに偉そうなものではなくて、ただ普通に言っているだけですね。理系に行くなら因数分解は必要かもしれないけど、経営者にはそれよりも道徳なんかが必要じゃないですかね。
(壮)起業するにあたって、なんでもいいと思うので「私はこうしたいんだ!」というものを強く持っていることが大切です。それこそ、お金持ちになりたいでもなんでもいいので、何か強いエネルギーを持って会社経営に臨むことが大切です。エネルギーがないと人はついてこないですし、何かしら自分の中で目標を持ち、それをエネルギーに変えてガツガツ突き進んで欲しいなと思います。そうなれば自ずと自分のやりたいことが見えてきて、望んだ形になり、ぶれない自分の軸になります。そうして進んでいくうちに、最初に持ったエネルギーが最終的に人のために尽くされていければ素晴らしいと思いますね。
(正)僕なんかはよく思うんですが、会社経営って本当に大変ですよ。皆から社長って言われて、飲み屋さんでも浮かれている人はたくさんいるけど、実際は苦しいし、夜も眠れないなどいろいろなことがありますよ。ただ大事なのはそれを乗り越えられるだけのパワーがあるかどうかです。これが皆さんに一番言いたいことですね。このパワーがあれば社長という肩書きがなくてもなんでもできます。例えば海外に飛び出して何かをやってみようとか、困っている国に行って手助けしてあげようとか、そんなことでもいいと思います。社長にこだわる必要はなく、大事なのは力強いエネルギーを持つことです。自分自身もそうなりたいし、皆さんにそうなって欲しいとも思っています。