すべてがデザインに繋がっていく
株式会社SAMURAI / 佐藤可士和
やはりトップはぶれてはいけないんです。様々な会社を見てきましたが、やっぱりトップがぶれるというのは最悪なことですね。船が大きくなればなるほど、ちょっとのブレが本当に大きな影響をもたらします。もう軌道を修正出来なくなってしまうこともあるし、修正出来ても、ものすごい時間とエネルギーのロスになってしまう。トップは常に明確に進むべき道を示していかなければなりません。
クリエイティブな力しか自分にはありません。ですから、クリエイティブのパワーを活用して社会に貢献して、多くの人の生活をよりよい方向にすることの一端を担いたいということがビジョンです。新しい価値を提供したり、何らかの方法で社会をよい方向に動かすことができればいいなと思いますし、そのようなことをクリエイティブな力を使って成し遂げたいと思っています。
その思いがリアルになったのは、子供が生まれてからです。もちろん、よい社会になって欲しいなという思いは以前から持ってはいましたが、子供が生まれてからは、より強く感じるようになりました。子供たちが大きくなった時、よい社会であってほしい。社会に貢献したいという気持ちは、あんまり大きな話しではなく、すごく身近な問題として日本、そして世界がよい状況であってほしいという素直な感情なんです。地球環境はもちろん、経済も発展していてほしいし、日本という国が世界から見て今後もいい国であっていてほしいと思っています。家族の事を大切だと思う自然な感情と一緒ですね。そのために自分ができることを、ひとつずつ積み上げていきたいと思っているのです。
大学生のうちに、何でもいいから、本気で何かにハマるといいと思います。ハマるものは何でもよくて、もちろん勉強でもいいし、バイトでもいいし、インターンでもいいし、恋愛でもいいんです。とりあえず、これはやったと言い切れるくらい、ガツンと何かに打ち込んだ体験が必要でしょう。時間もお金も労力も体力も全てそこに投資して、やりきったという感覚。仕事ってそういうエネルギーから成り立つもの。やりきった経験があれば、自分がどこまでやったらやりきったと言えるのかという事を知れるのです。だから学生のうちにそういう経験をぜひしてほしいと思います。 また、めちゃくちゃ楽しいという感覚が味わえていると、仕事が与えられたものではなくて、自分のものになり、自主的に色々出来るようになるでしょう。起業という話にも繋がるんだけれども、社会に出てから、仕事を自ら作る人間になるのか、人から仕事をふられるだけの人間になるのか、ということはすごく大きな違いです。自分で仕事を作れる人になれるかどうかはとても大切。解りやすい例で言うと起業ということになるのかもしれませんが、起業でなくても、大きな会社の中で自分から新しいプロジェクトを立ち上げたり、会社の為ためや、日本のためになるという事を考えながら仕事に取り組めるということは本当に幸せなことです。自分が博報堂にいた時も、日本の広告界を変えてやろうという思いを持って仕事をしていていました。仕事を自主的なものとして捉えられるキッカケを作るためにも、学生時代に完全にやりきったという感覚を養っておくことが必要です。だからなんでもいいから何かにハマってやりきって下さい。