ビジネス界で活躍する人材を輩出するという使命
慶應義塾大学商学部 / 平岡辰太朗
全国から集結した120名の学生がチームに分かれ、初対面の人と7泊8日間考え抜いて事業案を作り、優勝を決めるというのがKINGのビジネスコンテストの特徴です。初対面の人と熱い議論をしたり、限られた時間の中で成果を出すということにより自分の能力の限界を感じたり、悔しい思いをしたりすることもあります。自分の実力をさらけ出して非日常空間に没頭するところにKINGの魅力があると思っています。
今後50年、100年と続き、常に学生界の牽引する存在であってほしいですね。時代は常に変化しています。KINGは16年間続いているという伝統がありますが、伝統は時に足枷にもなり、新しいことへの挑戦を忘れがちになってしまいます。毎年同じことをしていたら、後々時代の波に飲まれて、廃れてしまうので、常に時代の変化に合わせて団体の存在意義を見出していくべきだと思います。
KINGは毎年コンセプトを変えています。「ビジネス界で活躍する人材を輩出する」という使命に基づき、KINGがビジネスコンテストを通じて誰にどんな価値を与えるのかを毎年考えているのです。KINGが出来ることと、KINGがしたいこと、KINGがするべきことをうまくあわせて考えていかなければならない。例えば、KINGがしたいことだけを追求してしまった時、それはただの自己満足になってしまいます。KINGのすべきことだけを重視しても、個々がしたいことが出来ずメンバーのモチベーションが上がりません。なので、この3つの観点を合わせるということを、3ヶ月、4ヶ月と長い期間をかけて考えていきます。価値を与えることが出来なくなった瞬間、KINGという団体は存在価値がなくなると思います。
KINGが発足した当初は、ビジネスと学生の間にはすごく大きな壁があり、その壁を取り除くことにKINGの存在意義がありました。15年経った今、ビジネスと学生の間の距離は確実に縮まりました。主体的に動けば学生であってもビジネスに触れ合うことのできる時代になったのです。そのような時代の中で、ビジネスの魅力であったり、ビジネスの醍醐味を学生に伝えていくことが今のKINGの存在価値だと思います。
KINGという団体は、基本的に夏に開催されるコンテストのために1年間という時間をかけて準備をします。もちろん準備は楽しいことばかりではなく、つらくて逃げ出したくなるようなことも多くあります。そのような中で、その組織と個人のバランスを調整していくことは難しいです。 KINGという組織を優先してしまうと、個人の思いや求めるものがないがしろにされてしまうかもしれません。逆に個人を重視しすぎると、組織として掲げているもの、求めているものが追えなくなってしまう。もちろんKINGという団体が目指している理念やビジョンに一心不乱に頑張るのが理想です。
しかし、現実はそう甘くはないわけでして、メンバーの一人一人KINGに存在する理由は違います。理想に近づけるためには一人ひとりがKINGに入っていて魅力的だと思う部分を引き出していかなければなりません。代表として学生一人ひとりの楽しみ、魅力を見つけてあげて、モチベーションを上げるということは大切にして行きたいと思っています。