自分自身の振れ幅を広げてみる
4colors 大山 旬
仕事をしているうちに、自分自身の得意、不得意が明確になって来ました。 数値設計をし,目標達成をする過程では,自分自身の能力を発揮することが出来ました。
でも、新規事業の提案など,クリエイティブな場面では全く良いアイディアが 浮かんでこない,そんなしょうもない自分自身に気が付いたんです。 これが一番のコンプレックスでした。 ただ,帰りの電車の中で,自分自身が温め続けてきた事業プランについて考え出すと, とにかく明確なイメージがどんどん浮かんでくるんです。
「自分自身の得意分野で,旗を掲げてみたい。」 一度過労で体調を崩してから,そんな思いが一気に高まりました。 そして退職の意志を固めます。 リーマンショックの真っ只中に退職。 知人から相当心配されました(苦笑) そして退職後,すぐに旅に出るんです。
宿も決めずに1日500円ほどの生活費で様々な国を旅しました。 先入観の無い状態で 予想外の出来事に向き合いたいという思いが強かったんです。 ガイドブックというものも,基本的には持ち歩きませんでした。 現地の人に直接聞いてみたり,同じバスに乗り合わせた旅人に聞いてみたり,そんな自由な旅です。
自由ですが,ものすごくストイックな旅でした(笑) ゼロの状態からルートを決めたり、言葉以外で相手に自分の意志を伝えてみたり, 一人旅の中で学ぶことは非常に沢山ありました。これが独立への第一歩になったのだと思います。帰国後,すぐに4colorsを立ち上げました。
「衣服」というツールを使って,人の第一印象を向上させるためのお手伝いをしています。 テレビで見る「亭主改造計画」のような物を想像してもらうと分かりやすいかもしれないですね。
一般の方向けのファッションコーディネートサービスを展開しています。 経営者の方や、ビジネスパーソンの方が表舞台に立つ際、外見は一番初めに相手に伝わる情報となります。第一印象でその人に対するイメージを下げてしまうのはもったいないことだと思うんです。装いを整えることで、その方の印象力を高めることを事業の中心としています。
僕は外見や衣服を,「入り口」や「表紙」と捉えています。 内面性は,実際に長く付き合わないと分からない部分もたくさんあるかと思うのですが, 「入口部分」は,一瞬にして判断が付いてしまう部分でもあります。
誰もが忙しい時間を過ごす中で,会った瞬間の「入り口」や「表紙」は 更に重要になるのだと思うんです。パッと見の第一印象で「興味が無い」と判断されてしまったらあまりに勿体無いじゃないかと思うんです。 4colorsの役割は,「入り口」や「表紙」を整えること。 そして入り口を整備することによって,よりその人自身の本質を色々な人に 理解して頂きたいなーと思っています。
喜んでもらえる対象が,決して本人だけでは無いということに 大きな喜びを感じています。奥さんや,お子さん,ご友人から職場の仲間まで, 一緒に変化を喜んでくれるんですね。それが僕自身の一番の喜びです。
周囲からの印象が向上するだけではなく,自信を持って振る舞えるようになったという感想をよく頂きます。自信を持って振舞うことで,本来持つ能力をより発揮しやすくなるという効果もあるのかなと最近では感じています。 お客さんとの繋がりは,サービス提供後も長く続いていきます。 その繋がりこそが当社の一番の財産だと思っています。
一人っ子の自分にとって,兄弟のような存在だった犬が事故で亡くなってしまった時。 これは辛かったですね。命についてこれ程にも考えさせられた時間はありませんでした。 僕は最終的に,動物に関わる活動をしたいと思っているんです。 遠回りのようで,一見何の繋がりも無いような事業を現在取り組んでいますが, 全てが繋がるように将来像を思い描いています。
遠回りや,全く違う方向にこそ,新たな風穴を開けるヒントがあるのではないかと思っています。今は,経験を積ませてもらっている真っ只中にいさせてもらっている感覚です。
ますます「個」が強くなっていると思います。 自分で組織を立ち上げることも、更に自然な流れになるかと思います。 僕の周りにも自分で面白い事業を立ち上げている人がたくさんいます。 大切な事は,立ち上げ後に長く存続し続けるということだと思うんです。
独立した個人が支え合えるコミニティーや,先輩起業家がアドバイスを与えられる場所や 機会がどんどん増え続ければ,社会に必要とされるビジネスも,社会貢献性の高い活動も,増え続け,健全に存続し続けることが出来るのだと思います。 まずは,10年後。自分たちがしっかりと残り続けて いなきゃ始まらない。結局そこに行き着くわけなのですが(笑)
中学生のころに「おーい竜馬」という漫画を15回程読みました。 その中に登場する高杉晋作の「おもしろきこともなき世をおもしろく」という言葉が 今でもずっと頭の中に残っています。
負の出来事も,残念な出来事も,基本的にあまり僕の中には残らないんです。 「せっかくだったら笑い話に出来たほうがいいなー」って思ってしまうんですね。 良い塩梅に受け流すスタンス,きっとこの言葉の影響が大きいのだと思います。