考える力を持ち、本質を捉えよ
傳田アソシエイツ株式会社 / 傳田 信行
インテルを辞めてから、外資系企業と日系企業のブリッジを担ってきました。そこで、新しいテクノロジーを日系大手企業に持っていくと、一同が口を並べて、「どこか他の会社はやっていますか?」と言うのです。一方で、韓国や中国や台湾に行くと、「ぜひやらせて下さい!」と、同じアジアにも関わらず非常に積極的。ビジネスとは本来リスクを伴うものです。リスクを取る事を楽しめるかどうかが、その会社の明暗を分けると私は思っています。かつて、日本の企業はリスク・テイキングをしていただけに、この現状には悲しみすら覚えます。
大企業に入って安定なんて絶対にあり得ません。もうそんな時代ではない事を強く自覚して欲しいですね。日本の大企業やメディアが、今さらになって「円高、円高」叫んでいる。そんな事言ったら、1985年に円の切り上げをやってからずっと円高じゃないですか。戦略が無いとしかいいようがありません。
日本は世界の中心ではありません。今の円高も作られた円高ですよ。日本の製造業が「儲からない」と言って、どんどん海外に支社や工場を立てます。そうすると、益々日本の国力は弱まりますよね。続けて今度は円安に誘導するとどうなるか。安くなった日本企業を外資系ファンドが買い叩く。私だったらそうしますね。
最悪、日本がどのような状況に陥っても、生き残る術を考えておく必要があるのではないでしょうか。
このままでは日本は、世界からみたらサクリファイです。こういう現状を考えてもせず、安直に大手企業に入っていく大学生。本当にそれで良いんですか?よく考えて下さいね。
日本はそんな事にならない!という人もたくさんいるでしょう。勿論、目的意識を持って日系大手企業に入社する事はとても立派だと思います。否定はしませんし、私の極端な意見を押し付ける気は毛頭ありません。私が伝えたい事は「考えて下さい」という事です。何も考えずに流れに身を任せて就職活動をする学生に、このメッセージを伝えたいですね。
会社で英語を喋るなんて当然ですよ。私の会社でも英語です。この間、楽天さんが社内公用語を英語にしたそうですが、私に言わせれば20年は遅いですよね。
大企業に向いている人はコツコツやれる人です。ベンチャーに向いている人はヤマっ気のある人、いっちょやったるか!と野心を持ってる人、それだけです。
ちなみに、学生諸君がベンチャーを選ぶ上でのポイントを教えましょう。それは、社長です。「この社長に人生を預けられるか?」これだけを念頭に置いて会社を選んで下さい。
今、私に事業計画書を持ってくるのはほとんどが女性です。日本の女性のアグレッシブさは凄いですよ。「国が面倒を見ないなら、俺が見る!」そう思わせるくらい、私の周りには魅力的な女性の方達が集まってきます。
3つあります。
1つ目に、語学です。英語は、学生ならばTOEICで850点は必要でしょう。遠からず、英語が必要最低限の時代がやってきます。早め早めに備えておいて下さい。
2つ目は、「考える力」を養う事です。なんで?どうして?と1つ1つの事象に徹底してみるべきです。そうすると、国を信じて良いのか?とか根本的な事や本質的な事を考える力が養われていきます。
最後は、今学んでいる学問の中でたった1つで良いので、圧倒的な強みを作ってください。例えば法学だったら民法、手続法、貿易法、様々あると思います。その中でたった一つ。「これだけは俺にまかせろ」という、圧倒的なバリューを作ってください。「全般的に学びました」には正直興味が持てません。1つ尖がらせる事で、後に活きてきます。