幸せは人との関係性の中で生まれる
株式会社はぐくむ / 小寺毅
高校生の当時は政治家か先生になって日本の教育に携わりたいと思っていました。しかし先生は現場で生徒に接することはできるけど、仕組み自体は変えられないなんじゃないかと思い、違う選択肢で浮かんできたのが政治家でした。政治家を目指して大学へ入りましたが、色々な経験をする内に「自分には、この道は合っていないかもしれない」と迷い始め、大学時代は悶々と過ごしていました。結局、あれこれ悩んでいる中で、どうせ一度きりの人生なら自分が本当にやりたいことにチャレンジしよう、草の根レベルでもいいからゼロから創造しよう、つまり「起業しよう」と思ったのが始まりです。
自分の軸、信念を貫くことができれば必ず何とかなると信じてこれたから逆風にも折れることなく進んでこれたと思っています。僕が恵まれていたと思うのは、幼少時からソ連とかアメリカとか色々な環境で過ごしたことで、どんな状況でも一生懸命にやっていれば「何だかんだやっていける」という体感覚が僕の中に蓄積されていったことです。今まで、色んな環境の中でもちゃんとやってこれた。だから大丈夫だ。って、信じてきました。
ソ連やアメリカでの生活の中で強く感じたのが、幸せは「モノ」ではなく「人との関係性」の中で生まれる、ということです。
ソ連にはモノが全然ありませんでした。大人も子供も配給の時に二時間くらい並ぶんですね。でも二時間並んでやっと手に入れた牛乳が腐っていたりするんです。それを生活のために飲むんです。一方で、アメリカでは比較的裕福な地域に住んでいました。友達の家にはテニスコートやプールがあることが多かった。でも、その家族が不仲であったりすると、子どもがすごく不幸だと感じている。僕はその時にやっぱり、「モノ」じゃないなと感じました。もちろん牛乳は腐ってないことに越したことはないんですけど、仮に腐ってたとしても、そこに集う人達の関係性が良いと、腐った牛乳でも恵みに感じます。そういうコントラストが僕の中に衝撃的な経験として強く残っています。
もちろん物質も大事だと思います。でもそれだけでは絶対に成り立たない。そこに住む人達との関係性だったり、友達とのコミュニティ、深いつながりが必要なのです。それを突き詰めて、良い関係性とは何かを考えた時、「一人ひとりがそのコミュニティの中で自分を表現できているか」ということだと思いました。自分をしっかりと表現して、それが他人にしっかりと受け止められている、認知されている。そのことが重要であると感じましたね。