挑戦し続ける人生
アレックス株式会社 / 辻野晃一郎
ソニーを創業した井深大さんや盛田昭夫さんは、非常に素晴らしい人たちでした。私にとっては尊敬の対象で、あんな起業家になりたいという想いもありました。彼らから、人と違うことをやって新しい価値を生み出すことの重要さを学んだわけですね。それに、ソニー自体も非常に好きな会社でした。自分のアジェンダで生きることを大事にする会社だったと思います。自分のやりたいことをサポートしてくれて、自分がやりたいことを思い切りやることが出来ました。今で言えばグーグルに似ていますね。当時のソニーは若いエンジニアの行動力や、発想を大事にしてくれる会社でした。でもそれが変わってしまいましたね。辞めた時は、ソニーを愛し、ソニーで働き、そのソニーで幕引きをするつもりで、ただ辞めました。ただ辞めただけだから、何もすることが無くなって、気持ちも落ち込んでいました。それでしばらく浪人しようと思って、ハローワークに行った経験もあります。
一番大きな原因は創業者がいなくなってしまったからですね。創業者がいる間は会社に強い求心力があって、社内競合が健全な活力として機能していて、みんな切磋琢磨していました。だけど創業者がいなくなって、そういう重しが効かなくなると、社内競合が行き過ぎて、足の引っ張り合いだとか、潰し合いになっていきました。
会社の定義なんだろうね。会社とは何なのかっていう。創業者と共に生まれ、創業者と共に滅びるのが会社なのか。それとも創業者という個人から離れて、創業者がいなくなっても、何代も続いていくのが会社なのか。世の中が必要とする価値を常に生み出し続けている会社であれば、創業者がいなくなっても存在する意味はあると思います。他人が絶対できないような価値や、商品をずっと生み出し続けて、それを喜ぶお客さんがいる限りは、会社というのは存在する意味がありますよね。
当たり前でしょ。世の中は今日よりも、明日の方が進化しています。前に向かって時間は動いていて、いまだかつて後ろに時間が動いたことは無いですよね。でも日本人は後ろばかり見ています。これからの時代にどんな新しいプロダクト、新しいサービスが必要なのか、それを生み出していくのが企業の価値なわけですよ。昔と今の家電では、中身も技術も全然違うし、時代に合わせて技術もサービスも変わっていきます。それを新しい感性を持った人たちが生み出していくことが世の中にとって一番大事なことじゃないですか。いつまでも古い大企業に頼るのではなく、若い人たちが独り立ちしていかなければいけないと思います。