進取の精神
アップラン株式会社 / 阿部 博
地方の人たちがこれまでとは違うスタンスを持たなくてはいけない時期にあるのだと思います。
日本は、制度的に東京一極集中で作られているので、それをいまさらどうこう言ってもしょうがないんですが、そのままにしてしまったら、どんどん自分たちの土壌が貧しくなっていくばかりです。ただ、それに気付かないのがいちばん問題なのです。
実際は困っているのに、「いや、困ってないよ」と言っています。
たとえば、私の出身である花巻市の直近の有効求人倍率は、0.2ですよ。
工業団地の誘致がうまく行っているところなのですが、今回の景気悪化でどっと首切りが出てしまった。もちろん、地場の産業でそこに本社があって、そこでモノを作るんだったら、お金の回り方も違ってきます。地元資本の会社を作れば、意識も変わってきて、地元とか東京の大学を出て、ちゃんと故郷で働こうと思うようになりますよ。
いま、首都圏の大学を出た若者が、地元に戻って就職しようと思ったときに、何があるのかと考えると、僕だったら、どう考えても公務員には向いてないし、銀行員にも向いてないんですよ(笑)。じゃあ、あとは何があるんだろうなあと(笑)。新卒の人が就職したいと思うような有名な企業はほとんどないし、中小企業もどんな会社があるのかほとんど分からないです。優秀な人ほど帰ってこないのは地方共通の悩みだと思いますが、地場の産業起こしをして、そこで勤めたり、事業ができるという土俵にしなくてはいけないと思いますね。
どれも大事ですね。もし自分がこれから起業されるという人にアドバイスをするとしたら、「ベンチャーはやらないように」と言います。
「自分はこの技術が好きなので、この技術で起業する!」って人は、ベンチャー企業に就職したほうが良いですね。営業が好きな人もベンチャー企業に就職したほうが良いですし、事務が好きっていう人は大手に就職したほうがいいと思います。「ベンチャー企業を起こす」と言うのは、全ての仕事を自分でしなければならないっていうことで、その中には本来自分がしたくない仕事も入っているかもしれないですよね。
金策とか人材確保とか、IRとか、お客様とのトラブルとか、何より競合他社が 出てくるかもしれないですよね。
もともとやりたかった仕事がたとえば「技術」だったとしても、ベンチャーを立ち上げて、自分がやりたかった部分は何割なのかと考えると、実際には微々たるものなわけですよ。だから、漠然と「起業したい」という思いでやるなら起業しないほうがいいと思います。会社経営をやりたいという強い想いが大切です。事務も技術も営業も自分ですべてやってやる。どれも大切な仕事なのです。