進取の精神
アップラン株式会社 / 阿部 博
営業の仕事をずっとやってきた後に転職して、半導体の商社に入ってその後も商品の販促・販売の仕事をしていました。
2000年ごろにe-Japan構想が出てIT業界にお金が落ちるということが言われたのに伴って、会社が自治体向けビジネスに乗り出しました。地方回りをして、日本中あちこち行ったんですが、岩手に行ったらびっくりしたわけですよ。あまりに貧乏なのと、デジタルデバイドの激しさにね。世がブロードバンドに移行していた2003年か2004年の段階でまだISDNを売っていたので、2000年以前の状況だったんです。そして、所得格差も実際にひどいので、何か貢献したいと思うようになったんです。
どんなことができるかと考えて、ちょうど自治体合併の波があったので、
その折に知り合った自治体コンサルタントの人と一緒に合併に関わる仕事をするようになりました。ただ、そこで仕事をしようとしていたところ、会社のほうからは待ったがかかったので、じゃあ独立してやろう、と決めました。
アップランとしてのビジネスモデルが固まりつつあって、それを実績にしてまわせるようにしていく段階ですね。
これまでは僕個人のコンサル事業のような形が大きいのですが、会社全体としてビジネスを受けて出来るようになりつつあります。
起業するということ自体は目的ではないですよ。
起業というのは、やりたいことをやるために起業するのです。僕は、郷里である岩手のデジタルデバイドを解消したいということと、貧乏なのでもっと元気にしたいという思いがありました。それをやるために自分に何が出来るかと考えて、僕はずっとITの業界にいたので、それを使いつつお金が回らなければいけないので、事業支援をしていこうとしたわけです。
単純にビジネスとして考えると、収益性の高いマーケットを対象にしようとするならば、
今やっている事業支援や調査分析のお手伝いをするという仕事は、当然首都圏でやるべきなんですよ。僕も最初は首都圏で仕事を取って、それを岩手に回すということをしていたんですけど、それをやっていても、岩手県自体はあまり元気にならないんです。その一方で、岩手県の会社さんを支援しようとすると、ITツールを使ったりとか、マーケティングということを本格的にやったりというところは非常に少ないんですよ。
だからまず、啓蒙活動から始めないといけない。そもそも、そういうものにお金を使おうという発想が非常に薄いんですね。東京であれば、ITツールを開発すれば、それを使ってくれるお客様がいるわけですが、岩手ではほとんどいないし、また事業区分としても小さい会社が多いんです。だから、そういう岩手に合う形のビジネスの形を模索しているのが今の段階ですね。