起業には無駄がない
ブランドリームス / 菅原 瑞穂
もともと動物が好きだったので、動物愛護に特化した社会貢献型企業が作れないかなと考えていました。特に、年に犬猫が30万匹も殺処分されている現状を変えるビジネスができないものかと。日本の既存の動物愛護団体は、保守的な組織が多く、私には馴染めなかったこともあって、自分にできる社会貢献型のビジネスって何か無いかなあと考えたんですね。 ちょうどその頃たまたまセミナーの後にお茶をご一緒したある社長さんが、その場の思いつきで「NPO団体のブランディングをしてみたら?」って言ったんです。その瞬間に「コレだ!」ってピンときました。なんであんなにハッキリ閃いたのかは今でもわかりませんけど(笑)ポジショニング分析をしてみても他にプレイヤーがまったくいない分野だったので、自分で挑戦してみようかなって。それに、日本のNPO団体のほとんどが依然として保守的であるという現状を変えるには、自分が one of them としてプレイヤーになるより、ブランディングで業界全体を変えていく方が効果的だと思ったんです。日本の NPO には、社会貢献のための素晴らしい志を持っていても、成果が伴っていない団体が多いので、彼らを助けるためにも、NPO 専門のブランディングはきっと有効に違いないと考えました。
一番魅力だと感じているのは周囲の人々との関係性が変わったことです。私自身は、起業の前後であまり変わっていませんが、起業後は、新しく出会う人々や出会い方、そして周囲の人々との関わり方がまったく変わりました。OL時代と起業家になった今を比べると、以前からの友人・知人を含めて、人との関わり方がまったく変わったところが、とても新鮮です。 また、起業家になると、今まで蓄えてきた知識をフル活用できます。学生の頃から好きだった音楽に関する知識はブランディングを行う上で大変役立ちますし、その他エンターテインメントに関する知識や雑学など、一見ビジネスには無駄に思える知識までもが、起業後には自分の武器となっています。ブランディングはあらゆる知識を総動員しておこなう作業なので、今までの遊びのつもりでやってきた経験まで役に立ちます。過去の経験や知識を全てビジネスに活かせる事は起業の魅力だと感じています。
自分の軸を見つけることが大切だと思います。起業すると何をしても良いという究極の自由を得ますが、その自由を活用するには、自分がぶれない軸を持つ必要があります。自分なりの価値観や選択基準がないと、結局は自由でなくなってしまいます。本当の自由というのは、何をしても良いという状況に加えて、その膨大な選択肢の中から自分が欲しいものを選ぶ基準がなければ得られません。同様に、知識や資格を持っているだけではあまり意味がなく、その知識や資格をツールとしてどう使うかを考えられる人が成功できるのだと考えています。