手数料売買への疑問と決別
スクラムトライ合同会社 / 前田 紘孝
簡単に言うと、いろいろな人からお金を集めて、まとまったお金をファンドマネージャーが運用して、利益が出れば出資してくれた人に還元する、ということを している機関です。怖いイメージというのはきっと『もの言う株主』とか『敵対的買収』とかそういうことをしている人のイメージだと思います。実際、僕もや ろうと思えばそういうことができないわけではないですが、そういう形はとっていません。一口にファンドと言ってもいろいろな形態があります。大きいところ もあれば小さいところもあるし、不動産に特化したファンドというのもあります。
ファンドだから、敵対的買収を仕掛ける、という訳ではないですよ。
またおそらくファンドというと、とてつもなく大きな額のお金が回っているように思えるかもしれませんが、それは事業ファンドと呼ばれるファンドなんです ね。僕が何で1人でできるのかというと、事業ファンドではなく、相場のファンドだからなんです。相場のファンドというのは、株であったり、FXであった り、流動的で、ほぼその日のうちに決算できるものなどを扱うファンドです。ゆくゆくは事業ファンドをやりたいと思っているのですが、今は事業を始めたばか りなので、まずは自分の得意分野である相場のファンドから始めました。
20歳になるちょっと前くらいですね。その時は経済学部の学生だったんですけど、5ヵ月分の奨学金をまとめてもらったんですね。
よし、と思ってミニ株を始めてみました。結果は儲かった分と損した分がトントンくらいでしたね。そのあと、『株はやった、次は商品先物も面白そうだな』と 思って先物取引を行う企 業に就職しました。証券会社も考えたんですけど、そこの会社だったら総合金融商社としてグイグイいくなと思ってそこを選びました。今はあまり業績はよくな いみたいですけど(笑)
結果から言うとそこに入って、あまりよくない実態を知ったんです。営業体制や、コンプライアンスの面で。
言ってしまえば手数料で儲けているような形でした。
というのは、例えば1000万円の注文があった場合、それをいかに多く売買して、日々の手数料を取るかにかかってくるんです。その中で、お客様の中には 『お前のことが気に入った、お前だから買ってやる』と言ってくれた人もいたんですが、その人たちに対しても、自分はきれい事だけではなく、手数料を稼が なくてはいけない。これがすごく悔しかった。お客様の利益と相反してしまうこの形にずっと疑問を持っていました。
本当にお客様の利益のことだけを考えて、それでマイナスを作ってしまうんだったら納得いきます。
『すいませんでした、次は絶対プラスにします』と言えるのですが、手数料のために損をさせるのは全く納得がいかない。
こういう今の業界の手数料商売の仕組みをどこかで変えないといけないと思っていましたが、
最近はネット証券も普及してきて、だいぶ改善されてきていると思います。
それもありますが、それと決定的な出来事として、リーマンショックがありました。
独立は、30歳になって、余裕を持って起業しようと思っていたのですが、リーマンショックが起きた時に、今しかないと思いました。
利益を出す千載一遇のチャンスだと。そう思ったのでその日か、次の日に会社の社長に辞めますと言 いました。