「人」にフォーカスしていきたい。
さくらインターネット株式会社 / 田中邦裕
そうですね、ただ直接すぐに結びついたわけではありません。
自分でサーバーを立ち上げれば手軽に情報発信できますが、そもそも手軽にサーバーを立ち上げることが出来ないということが気になりまして。外部に自分でサーバーを立ち上げようとしたんですけれども外部のサーバーは大変高価なものでした。
それこそ学生の身分では絶対に使えないような値段でしたので、それならば、学生でも使えるような値段で外部にサーバーを置きどんなコンテンツでも置けるようなサービスを行おうと思ったのがきっかけです。
ほとんど全て独学です。本を買って色々と勉強しましたね。例えば、会社の設立の方法や、社会保険の手続きだとか、会社の経理等、自分で全て勉強しました。
私の場合、最初に始めたビジネスがお客様の顔が見えないビジネスでしたので、ある種の割り切りはありました。
人によって値段を変えないということや、サーバーのスペック等を公に公表すること、お客様の電話サポート等、弱点を補完するようなサポートや情報開示に努めようということを当初から考えていましたね。
強みとしては色々とありますけれども、今の強みというのは、やはり「知られている」「知名度が高い」ということです。
当社のようなインターネットサービスにおいて、お客様は私達売り手の顔が見えません。 ということは、お客様からするとサービスを利用するか否かの判断基準というのは、値段と機能、あとカタログスペックだけなんです。これは相手からすれば、選ぶときにどうしても不安がありますよね。ですので、企業はどうしても機能やスペックを上げることを重視しがちになります。
しかし、やはりお客様が継続してサービスを利用してくれる理由というのは、サーバーが落ちないことであるとか、サポートが親切であるなど、そういった理由なんです。
当社は他社より多少、価格が高かったとしても当社を選んで使って頂けるお客様が多いです。信頼性を担保する「ブランド」、それが現状の強みになります。
また、当社は東京の半分ほどのコストで運営可能な石狩のデータセンターがありますし、他社が1000件売れるサービスを当社は10000件程売ることができますので、同じ開発費で、売上が10倍ということは、相対的に開発費の割合を当然下げることができます。それによってもたらされる「スケールメリット」、それも当社の強みです。
しかし、それらの強みは、昔から少しずつ培ってきたもの、次の強みはどんどん時間と共に変わっていくと考えています。