自分のやりたいことやったらいい
連続起業家 / 家入一真
高校時代、対人恐怖症なのかわかんないけど、人と会うことが出来ませんでした。親の泣く姿を見て、このままじゃまずいと思ったんです。それで朝の新聞配達だったら全然人に会わないしお金も稼げる。これで徐々にならしていこうと思い、配達員を始めました。
家ではネットばかりでした。そのころにプログラミング、Photoshop、イラストレーターを勉強して、自分の描いた絵を表現するという楽しさを知りました。
これをみんな出来るようになればいいな、と思っていました。じゃあ、学生がお小遣い程度払えば表現出来る場を作ればいい。そうしてペパボを作るきっかけになっていきました。
あれはシモダくん(the Entrepreneurでもインタビュー記事掲載!)と一緒にやったやつですよね。
元々ふざけている会社ではありましたけど(笑)でもシモダくんが入るまではああいうテイストは無かったですね。
「ふざける」というのは面白い一方で批判もあります。でも僕が一番良くないと思うのは話題にならないことなんです。
振り子みたいなもので、批判を受ける分だけ、評価する人もいるんです。だから批判の声はおそれなくていいと普段から考えています。もちろんやってはいけない一線はあると思いますけど。
僕にとって「悪ふざけ」とはクリエイターとしての心構えのようなものです。サービスを作る自分、そして自分たちがまず面白がって、どんどん周りの人も巻き込んでいくこと。それが「悪ふざけ」ですね。
話下手だからかわかんないけど、決算発表とか人の前でしゃべるのが苦手で株価が下がるんだよ(笑)そこは適材適所で。
僕は、上場するまでのペパボではサービスを作るというところで経営理念を体現してきたつもりなんです。ちゃんとした言葉としての経営理念とかは無くて。僕が作ったものでみんなについてきてもらっていました。
でも、上場すると数字であったり、社長に求められるものが増えてしまいます。僕はそこじゃないと思ったので、上場してすぐにクリエイティブオフィサーとして就任し、それまでの副社長に社長になってもらいました。
そうして物作りの現場で一年やって、だいたいペパボとしての物作りを浸透させられたと感じたタイミングで退任しました。
僕はやりたいことがたくさんあったので、新たな場所作りをはじめました。
そうですね。一生かけて会社を大きくしていくのが一般的でした。しかし僕の場合は、バイアウトして次々にサービスを作るというスタイル。最近増えてますね。僕は後者の方のロールモデルになれたらいいと思います。みんなにそういう事も全然出来ると伝わればいい。
僕は法人も「人」と付くぐらいですから人格があると思っていて、始めは創業者の人格に依存する割合が多いんですけど、大きくなるにつれてずれていくことがあるように感じます。僕の場合はあるところからずれ始めました。
会社としては売り上げも上昇して拡大していて、僕の道に合わせようとすると会社としてのハッピーを犠牲にすることになると思ったんです。それをやるよりはペパボの人格の幸せな道と僕の道が違うところにあるのなら、会社が無理して合わせることも、僕が背伸びすることもない。結果として別々になったけど、それでいいんじゃないか、と感じたんです。
一つの会社を大きくしていく人達は、何があってもずっと同じ道を歩んでいく人達ですね。