大企業から一転アルバイトで、確かな最小単位の価値とチャンスを見つけた起業家
株式会社クラシック 代表取締役 / 坂井裕之
実はリクルートもアサツーディ・ケイと同じで、大企業感覚で入社しました。(笑) リクルートに入社した直接的なキッカケは知人に誘われたからであり、この時もまだ起業はあまり考えていませんでした。 とはいえ、リクルートであれば自分の力で事業を作り出すことができます。学生時代から自分で記事を書いたりするのが好きで、何かを生み出すことに関心が強かったのです。その点でリクルートにはとても魅力を感じて転職をしました。
そのままでいいんじゃないかと思います。やることや居場所を変えるのではなく、その場で学べることや幸福なことを、もっと感じたり利用したり、そのままの場所で密度を高めるというのでしょうか。学生時代は無いものねだりをするよりも、「今」幸せだと思える能力を鍛える方が圧倒的に重要だと感じます。社長になるなら「今」を前向きに捉える能力が必要不可欠になるな、といまは強く感じます。
今まで大手企業で働いていた影響で、大きなビジネスモデルを作ってしまいがちだったのです。実は大きなビジネスモデルは誰にでも企画しやすいものだと思います。ダメな部分があれば、付け足せばよい。お絵描きの時点では回避が可能という計画になる、当たり前ですよね。
でも当時の私はそのことに気がついておらず、フリーのプランナーに任されるはずのない企画ばかりしていました。しかもフリーで働くプランナーとしてのマナーすら無かったのも災いして仕事をもらえなかったのです。仮に企画を通してもらったとして、その企画を実現するための労働力やスキルも無かったために、何をやっても上手くいかない状況に陥っていました。まさに黒歴史でした。
純粋にただの修行としてチラシをポストに投函する仕事を始めました。
僕の悪い癖として、何をするにもサボリたがるのです。(笑)
常に効率性を求めるというと聞こえがよいですが、サボリ魔の甘えんぼうです。さすがにこのままではいけないと思い、性根をたたき直す必要を感じたのです。
私は毎日3,000枚のポストの投函をおこなっていたのですが、ポストの投函は一軒づつ必ず行なう必要があるため、サボリようがないのです。終わるまで続けるしかない。僕はサラリーマン時代から仕事が終わらなくても帰ってしまうくらいでしたから、この時ばかりは「絶対にサボらずに最後までやろう」と心に誓っていました。
これくらいのことをしないと「自分は変われない」という危機感がありましたね。でも、自分のアイデアや着想だけには自信があったので、これが出来れば「自分は最強になれる」と思っていました。
そもそも「ウェブサイト作りませんか」という非常にシンプルな営業電話でアポをもらう会社だったので、何千件と営業電話をするうちに自然と「建築」と「花屋」は 「ウェブサイトを持っていない率が高い、持っていても使えていない」ことが分かってきました。花屋はウェブサイト上で集客さえできてしまえば、想定しないほどの出荷を行える可能性に満ちていました。そして花の魅力をウェブサイト上で伝えるには「表現的でかつ情緒的」に行う必要がありました。ウェブサイト上で非常に優れたコミュニケーションスキルを発揮する必要があるため、私にとってはとてもやりがいのある仕事になると感じました。
一方で、建築事務所では、必ず数千万円という単位のお金の仕事が発生するため、一つの仕事で100万円単位のお金が口座に入ってくるだろうと。ということは、建築事務所と取引を行えば多少単価を大きくしてもウェブサイト制作を依頼してもらえるのではないかと考えたのです。あと、建築設計事務所という単位の業態に絞ると、とてもニッチな市場となり、ITが十分に浸透していないことが分かってきたのです。建築事務所と花屋の2つに目を付けてからは、とにかくさらに営業電話をかけてリサーチを進めました。そうすると、業界内部に非常に詳しくなるため、いつの間にか営業電話をかけていた相手から、逆に相談の電話をもらうレベルになっていました(笑)。
こうなると、新しいサービスの絵が書けている状態になっていました。