レールを外れる勇気を持とう!
グリンバード新宿 代表 / 乙武 洋匡
そうなんですよね。たしかに、失敗って痛みも伴うから、どうしても避けたくなる気持ちはわかります。でも、それでは一向に自分の経験値が上がっていかないんですよね。若いうちだからこそ、様々なことに挑戦して、失敗を重ねながら経験値を上げていってほしい。逆に、失敗を恐れて、ずっと自己完結型の生き方を続けていると、中身のない薄っぺらい人間になってしまいます。
あと、リスクに関して言えば、「何がリスクか」をもう一度、考え直す時期にきていると思います。これまでは大学を出て、“いい会社”に入る。長くいればいるほど給料が上がっていくから、それで家族を養える。だから、みんなと同じレールを歩んでいるほうが幸せになれる確率が高かったのでしょうし、そのレールから外れることがリスクだと考えられてきた。
でも、時代が変われば、状況も変わります。これからは、人と同じレールを歩むほうがリスクという時代になると思うんです。限られた労働市場のなかで、どのような人間が切り捨てられていくのか。それは、「置き換え可能な人材」、つまり「交換可能な部品」だと思うんです。いくらでも替えがきくと思われる人間から、「こいつは替えがきかない」と思われるようになるには、やはり他者とは違うレールを歩み、違う景色を見ておくことが必要になってくる。よく大人たちは「つぶしが効かなくなるから」と、レールから外れることのリスクを訴えますが、これからは独自の道を歩んできた人間こそが「つぶしの効く」人材になるのではないでしょうか。
新しいことに挑戦するときには、どうしてもそこにハードルを感じてしまい、身構えてしまう。だから、行動に移せないのではないでしょうか。単純に自分の関心があることをするのだから、「楽しむ」という感覚でいいと思いますよ。そもそも、新しいチャレンジは、自分が好きなことの延長です。例えば、旅行や読書が楽しいのは、そこに新たな発見や気づきが詰まっているから。その楽しさ、そのワクワク感を得られるよろこびに比べたら、多少の失敗なんて――そんなふうに考えてもらえたらうれしいですね。
僕自身、今後は教育を主軸に置きながらも、もっと幅広い社会問題についても学びを深め、活動していきたいと思っています。グリンバード新宿の立ち上げも、その一環ですね。また、最近は志を持った素晴らしい学生のみなさんと出会うことが多いので、彼らとともに学び、動けるような活動を始められたらいいなと考えています。
先ほどもお話しましたが、これからは「他人と同じ道を歩む人生ほどリスク」という時代に突入します。だから、みなさんには常識や慣習にとらわれずに、他者と違ったユニークな生き方を心がけてもらいたいですね。もしそこで失敗をしても、それは自分の経験値を上げ、その後の糧となるもの。むしろ勲章です。みなさんとともに、これからの社会をつくっていきたいと思っています。ともに歩んでいきましょう!
本日は取材にご協力していただき、ありがとうございます。 取材を通し、乙武さんのように、人と違った生き方を楽しんでいけたら素敵だなと思いました。( 蓮見)