どんな状況からでも次に行ける、そんな社会に
一般社団法人GrowAsPeople代表理事/角間惇一郎
自分たちがサービスを届けたい対象の姿を具体的にイメージ出来ているかは事業の成否を左右する極めて重要なポイントです。僕らは、夜の世界に関わっている方の中でも、『自己選択の結果、夜の世界に関わりがあるが、そろそろ辞めたいという段階に至った方』に対象を絞っています。夜の業界に関わっている全ての方を対象にしようとは考えていません。夜の世界に関わっていると言っても、個人により状況は様々です。当然、ニーズも様々。誰もが夜の世界を「今すぐ辞めたい」と思っているわけではありません。しかし、年齢とともに働きにくくなることはある程度共通しています。そして20代後半から30代のタイミングで、漠然と「次に行きたい」と思い始める方は多く存在します。しかし、次にいこうと思っても、相談できる場所は少なく、職歴の空白、過去の在籍写真の取り扱いなどでつまづく場合が多いのです。ぼくらはこの課題を解決する事業を展開しています。
『夜の世界』が元々内包しているイメージについては理解していますので、なんらかの偏見を持たれることはしかたがないことだと考えています。ただ、イメージばかりが先行し、二次的なストーリーの消費が繰り返すされることで、本来必要とされている支援がぼやけてしまうことは危惧しています。夜の世界そのものを問題扱いしてしまうと、当事者の思いを無視した支援が行われてしまう可能性が高まります。とはいえ「夜の世界をもっと丁寧に理解しろ」と当事者側から社会側に押し付けることは望ましいことだと思いません。押し付けるのではなく、理解し難いテーマを翻訳することが大切です。その仕事は業界と社会の中間の立場である僕らの役目だと思っています。