恩返しをすることが、原動力
NGO ADEO Japan / 前田実咲
寛容性かなと思います。私が研修に行く時に一番言われたのが、「研修で一番大事なのは、色々な人に対する寛容性だよ」と言われました。国際開発の現場に限らないと思いますが、世界には私たちの知らない色々な人がいます。その中で自分と共に時間を過ごす人達に失望してしまったり、呆れてしまったり、あるいは過剰に期待をすると、なかなか人間関係は築けないし、それに基づいた仕事もできないですね。色々な人たちと1つのことをするにあたって重要なのは、寛容性なのかなって思います。
世界の中で日本人の大学生ってかなり高い教育水準に位置していて。そんな人たちが、国際協力の現場の最前線で働く必要は本当にあるのだろうかという疑問がありました。言語も文化も異なり土地勘もない人に何が出来るのだろうと。そこで働きたいという自己欲求に過ぎないのではないかと思っていたんです。もしかしたら、現場は言語や文化が近く土地勘のある人だけで動いた方が、よっぽど効率的なんじゃないかと思っていたんです。でも自分は学ぶ過程にある学生の身分で、身の程知らずかもしれないけど現場に行ってみようと思っていました。そして実際に現場に行って、ああ自分は日本人なんだなと感じました。言葉、文化、価値観が大きく異なるから、どうしても壁が生まれてしまうんですね。その壁は、私を含めた外国人誰しもが感じていて、みんなある程度割り切りながら乗り越えようとし、その難しさを常に感じているようでした。 現地の人にも思いや能力はあって、彼ら自身にできることだってたくさんあります。一般には弱者と言われている人達も自分と同じなんだと純粋に思いました。現地の人も外国人も、どちらがどう優れ、劣っているという話ではなく、どちらも思いや能力をそれぞれに持っている。それが地に足がついた、身の丈を知ったということでした。
2つあると思っています。1つは、どんな人の話も聞けること。それって簡単に見えて、難しい。先輩や著名人の話は聞くけど、後輩や無名の人の話は聞かない人って結構いますよね。相手は同じ人間で優劣などないのだから、誰の話でも聞き、相手を尊重することが出来る人は真に素敵だなと思います。 もう1つは、自分の話を簡単に言えることです。物事や自分の考えをかみ砕いて分かりやすく言うことによって、その人の価値観は世の中に広まっていきます。誰に対しても尊重の念を持ってものを言えることが、素敵だなと思いますね。