時代の変革期におけるビジネスチャンスとは?
株式会社ALMACREATIONS 代表取締役社長 / 神田昌典part1
僕は3人の子供がいるのですが、正直なところあまりほめられた父親ではありません。
上が17歳なのですが、この本のなかに出てくる10代の高校生との対談は、自分の息子に対して、直接は言いにくいことを書いたものです。親と子の直接的なコミュニケーションというのはなかなか難しいし、僕はあまり得意ではないからね。
でも、彼も、父親の考えていることもだんだんわかるようになってきたようです。先日、息子もフォトリーディングというスキルを学びました。そうするとやはり急速に能力を発揮してしまいますね。
息子と同じように、皆さんの世代は、自ら価値観を取捨選択、そして創造していかなければならない、非常に難しい状況です。
団塊ジュニアと呼ばれる、今35から40歳ぐらいの人達も同様に難しい。あの人達の中のおそらく少数が、次の時代をきちっと創り込んでいきます。そして皆さんが、どちらかと言えば実務家として、彼らが築き上げた産業というものを完成させていく。そういう世代に生まれているわけですね。
本田宗一郎さんにしても井深大さんにしても、戦争が終わった当時は、変わり者だと言われていたと思います。あのころから世界を狙っていた訳ですから。そういう人って本当に少数なんですね。でもその人達の後に付いていく人は相当数が必要です。
そういったビジョンを持った上で、今から経験を積んでおくのがいいと思います。
ですから、皆さんが僕の息子で就職活動中だったら、この本に書いてある通りとりあえずアジアに行かないと話になりませんよね。日本だけにいて、いい学校を出たからと言ってもどうしようもない。
それから、どちらかというと厳しい現場を見ておいた方がいいです。だから日本で言えば、震災・被災してしまったところ、それから介護、医療の現場を知っておくのがいいでしょう。
起業というのはちっちゃいんですよ。
起業はいつでもできます。金儲けなんていうのは、インドに行けばみんながやってます。インドのお土産屋さんに行くと、マルチリンガルの人達が交渉力を持って商売をしている。 ビジネスなんてたいした事ないのです。
僕も起業したわけですけど、最初に行った外務省には、行って良かったと思っています。
1998年頃からのITバブルがありましたよね。あれは、情報化社会の最終的な段階なので、あの時に情報化社会の波に乗ろうという人は、学生から起業してもオッケーだったんです。ビル・ゲイツとか。
そういった面では、経験よりも、時代の波に乗ることの方が必要だったわけです。
しかし、今度の波というのは情報化社会の先にある社会です。そうすると、今の段階では次に何が来るかというのは見えない。まあ見えないけれど言えるとしたら、医療関係などの先ほど挙げたような分野は来ますね。
ですから、今から「手っ取り早くお金を儲けよう」というものにひっかからない方がいいですよね。手っ取り早く儲けて偉そうにしてる人は恐竜になっていくと思います。
アフィリエイトをやれば手っ取り早く儲かりますよ。せどりとかもありますね。中古本を売って利ざやを取るわけです。もちろん悪くはないですよ。でも20代のはじめの仕事、そこで得た価値観というのは一生ものなんです。
そうするとはじめに利ざやをぬくという経験を積めば、一生利ざやをぬいて終わるわけです。20代から一生苦労しないで、手っ取り早くゲーム感覚で金儲けしようと思って、それでお金が入ったら、それが一生ものなんですよ。
でも人生はそんなに甘くないから。
「苦労は買ってでもしろ」って言いますが、やっぱり、今は大変な現場を見ておいた方がいいです。
大変な現場っていうのは、本当に困っていらっしゃる方が更に増えざるを得ない状況にある。それを認識した上で、地域社会とか、これからの国だとか、アジアとか、そういう所に対して自分は何ができるのか。そういう認識の広さを身につけるんです。
中国、シンガポール、タイ、インドネシア、ベトナムとかそういうところ全部見ておいた方がいいし、学生の時はそういうボランティアをやっておくといいと思います。
中国語、英語は必須です。
中国語が話せるのと話せないのでは、おそらく収入が一桁変わってくるでしょう。なぜなら中国の人口は日本の10倍います。それが今後15年は、多少の上下はあっても、発展し続けるからです。
とは言え、中国も国が崩壊するリスクというのは相当早いです。だけど国が崩壊しても、人口が多いので経済は発展します。
つまり市場が十分ですから、そうすると日本は中国経済圏に、食い込ませていただくだけでもラッキーという感じでしょう。
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2012年1月19日 担当:足立幸大