シリコンバレーを知らずして起業するべからず
学習院大学経済学部経営学科 教授 / ディミトリ・リティシェフ
アメリカではそういう仕組はないですね。空きがあれば求人を出して、その都度人材を探すという形ですね。
自分で探したり、企業が学校に説明会を開催しにきたりします。また、面接で給料の交渉をしたりもします。面接では、どのくらいの給料がほしいですかとよく聞かれます。交渉が上手くいけば実際に給料が変わります。
やはり投資家との付き合い方が一番違います。シリコンバレーでは投資家と起業家は平等です。もう1つは、シリコンバレーでは二人か三人で起業をするケースが通常ですが、日本では一人で起業するケースが意外と多いです。あとは外部のお金を使わないで、別な仕事をしながら自己資金で立ち上げるというのも日本では比較的多いですね。日本の起業家はもっと、補完的なスキルを持つパートナーを探してチームを作るのがいいと思います。Appleのスティーブ・ジョブズとスティーブ・ウォズニアックのようにマーケティングと技術を分担して、足りないところを補いあえる関係が良いです。ただ、一人でやるからダメというわけでもなく、2人だと途中で仲が悪くなるといったリスクももちろん存在するので気をつけなければなりません。
成功要因は企業、人、業種によって違うのでポイントをまとめるのは難しいです。ただ一例としていうとしたら、外部の意見を取り入れようとする開放的なマネジメントスタイルですね。社内の人材だけで全ての意思決定をすると思い込みの可能性が高まります。なので、外部の投資家やアドバイザーなどと定期的に相談することが大事だと思います。
若い日本人が自由に自分の進路を選べるようになってほしいと思っています。前の世代の価値観や人気ランキングに左右されず、自分にとってふさわしい道を選んでほしいです。大企業とベンチャー企業のどちらも必ずしもベストチョイスではないという認識を広げたいし、就活生各自が両方を検討してから選ぶという環境を作っていきたいと思います。
日本とシリコンバレーの事情を深く理解し、その中から適切な部分を見極めて自分のキャリアパスの参考にしてほしいです。