スタートアップは自分らしさを活かせる環境そのもの
株式会社TECHFUND / 川原 ぴいすけ
オールラウンドディレクター。18歳で起業、過去の制作数は100件以上。広告業界を経て2011年から独立、クリエイティブディレクターとして企業ブランディング、商品開発、経営コンサルティングも兼務。2014年よりTECHFUND共同代表。
まず前提として、TECHFUNDではスタートアップ創業期における様々な支援を技術と呼んでいます。一般的に技術とは、ハードやソフトウェアを開発する技術などの手を動かす能力のことだけを指しますが、TECHFUNDでは、スタートアップをスタートさせるためのブレインストーミングや事業設計スキルのことも技術と呼んでいて、ありとあらゆる支援を展開しています。具体的には、事業アドバイスをおこなったり、一緒にWEBサービスを構築したり、創業期の採用を手伝ったり、会社設立のサポートをしたり、リーガルサポートをしたり、資金調達のアドバイスや、ベンチャーキャピタル・個人投資家の紹介に至るまで様々な支援を展開しています。
弊社はVCというよりはアクセラレーターとしての役割が強くて、投資をすることだけが目的ではなく、起業家と共に事業を成長させることを目的としています。お金を投資してキャピタルゲインを得ることが目的ではなく、ポテンシャルの高い起業家を採択し、その起業家の事業を成長させます。このようにTECHFUNDは、バリエーション(時価総額)と言う明確なKPIを定め事業を共に創り、共に歩んでいくと言う点において他のVCよりも起業家との接点が多いので、そこがVCとの違いと言えますね。
Yコンビネーターのプログラムを参考にして僕たちはSUNRISE PROGRAMというプログラムを運営しています。SUNRISEという言葉自体が会社の哲学になっていまして、「起業家と一緒に新しい日の出を見よう」という共通の体験を意味しています。Yコンビネーターが行っているアクセラレーションというのは、お金と場所とネットワークを提供して事業を支援するというものです。僕たちの場合は、SUNRISE PROGRAMという技術投資プログラムを通じてチームの事業を一緒に作っていくというプロセスになっています。 大きく分けて前半と後半のプロセスがあります。前半のLean&Developmentと言うプロセスでは、一緒に事業を考えて作っていきます。TECHFUNDではリーンスタートアップの考え方に則り、事業における仮説を立て、その仮説を検証することで学びを得る手法をこのプロセスに組み込んでいます。「この事業のユーザーは本当にこういうことを思っているのか」とか「この事業は本当に成功するのか」ということを様々な角度から検証するフェーズです。 後半のDevelopment&Financeと言うプロセスでは、開発したプロダクトやサービスを持って、PRやファイナンス活動を行ってもらいます。Lean&Developmentフェーズにおいて仮説検証が完了し、ユーザーにとって価値があると認められたプロダクトやサービスを持って、資金調達に向けて動いていきます。
リーンのフェーズが一番難しいです。SUNRISE PROGRAMは、リーンスタートアップ中心設計のプログラムですが、そのリーンスタートアップ自体に厳密なゴールというものはありません。世界一の企業と言われているアップルも、未だに新しいプロダクトを生み出し改善し続けているように、事業やプロダクトに終わりはありません。学び続けるわけですから。その中で、事業として次のフェーズに向かう見極めをする事が全体を通して難しいですね。