the Entrepreneurライターが選ぶ成長企業50選vol.2 Part23
クックピット株式会社 代表取締役社長 白湯師/ 本間義広 (ほんまよしひろ)
the Entrepreneurライターが選ぶ成長企業50選vol.2 Part23
クックピット株式会社 代表取締役社長 白湯師/ 本間義広 (ほんまよしひろ)
【経歴】
服部栄養専門学校卒業後、和食料理屋で7年間の住込みを含め、足掛け10年間修行を積む。その後、当時アメリカから日本に展開していたシーフードレストラン、レッドロブスターのフレンドリーなサービスに感銘を受け、スーパーバイザーの5年間を含め約8年間勤務。 ある日たまたま入った西麻布のラーメン屋のスープに感動し、店主に頼み込んで洗い場からラーメン業界に入る。その後「この美味しいラーメンをもっと色んな人に食べてもらいたい」という思いから多店舗展開に着手し、12年間で18店舗の出店を成功させる。この多店舗展開の経験から、長時間労働に苦しむラーメン店の主人の独立開業を支援するため、2006年にクックピット株式会社を設立、日本で初めて業務用のストレートスープを開発した。店主がスープや麺、たれなど、会社の“味”を仕入れ、自分流の店舗経営をできる「味分け」は、全国650店舗以上のラーメン店で普及している。
【会社情報】
会社ホームページ
就職後の方が気付きや学びが多いと思います。学生時代には気がつけなくても、就職後には気がつけることもあるのではないでしょうか。人との出会いも大きな要素です。
ただ、学生時代でも出会いに恵まれて、そこでチャンスを頂けたのならば、大学をやめてでも起業するべきだと思います。そこで自分が得意なところを伸ばしていけばいいと思うのですが、ただ学生だと自分が何を得意なのかもよくわからない人が多いのではないでしょうか。
私としては、気付きが多く、そこから学べることも多い就職後の方が起業には良いと思います。
遊びも仕事も経験になるので、どちらでも良いと思います。ただ、良い友達や仲間を作るべきだと思いますよ。向いている方向が同じ仲間は話が合いますし、そこから自分のことを助けてくれる人が出てきますから。
行動が先の方が良いと思います。行動の結果、反省したり、誰かが教えてくれたりするからです。一歩踏み出すのには勇気が必要ですが、自信を持って間違えて良いんです。その結果前に進めますし、本当に間違えていたら誰かがちゃんと止めてくれますから。
弊社の社是は「知覚動考」と言って、「知って、覚えて、動いて、 考える」という意味なのですが、これは「ともかくうごこう」とも読めるんです。 「 とにかく動いてから考える 」という事です。
開発タイプだからこそ、美味しいスープが出来たのだと思います。もちろん色々な方に助けていただきながらスープが出来たのですが、私はその中でも開発に携わりました。
弊社のスープですが、私ももともとはスープを炊いていました。ただ、私がやっている白湯スープは、豚だと作るのに8時間かかります。ラーメン屋の主人はスープ作りだけでなくお店にも立たなければなりませんから、そうなると過労で倒れてしまうんです。そこで、主人がお店に元気に立てるように、スープの管理はうちでやろうと考えたのが、弊社のスープが生まれたきっかけです。
当時は、濃縮スープや化成品の工場はあったのですが、ストレートのスープ工場は世界に存在しませんでした。そこで、工場を作り、スープの釜から作ることから始まりました。色々な方に助けて頂きながらスープの釜を作り上げ、弊社のスープの特徴である「とろみとどろみ」を持ったスープの製造に成功しました。
情熱タイプです。起業家というのは、答えのないことに対して情熱で向かって行く人たちだと思っています。いくらやっても答えがないので、迷うこともあるのですが、だからこそ情熱が大切なのだと思います。高村光太郎が「僕の前に道はない 僕の後ろに道はできる」と『道程』の中で詠んでいましたが、起業家の生き方を表した一文だと思います。
考えていないです。株主が増えると、私の創業の思いがなくなることがあるかもしれません。会社が私の思いと違う方向に行くかもしれないので、考えていません。
もう既に動いています。タイで鶏のスープ工場を、今年の12月から稼働させる予定です。タイは鶏の4大輸出国なのですが、中でもハラルという、イスラム教徒でも食べられる鶏の認証を持っている数少ない国の一つです。ハラルの原料でスープを作るのが私の目標でした。
東南アジアは自由貿易で関税撤廃になるのと、タイから陸続きでヨーロッパまで行けますので、まずは東南アジアを中心に展開したいです。
その後、16億人と言われているイスラム教との胃袋に、私のスープを使ったラーメンを届けたいです。
しっかり休んでいます。ジムに行ったり、家でくつろいでいます。切り替えは得意な方だと思っています。だからやっていけるのかもしれませんね。経営者をしていると、胃が痛くなることももちろんありますから(笑)
「あの人たちがいたから今がある」と思うような仲間や恩人はたくさんいます。飲食業界で、大きな会社の経営者で尊敬している方というと、吉野家ホールディングスの安部会長ですね。二代目として会社を継いで、20年以上やって会社を大きくした方なので、尊敬しています。牛肉が3年なくても潰れなかったというのは、本当にすごいと思いますよ。
次に巣鴨にお店を出す際、出店を任せることにしている社員は、彼が18歳のときから一緒にやっています。彼は人生の半分私と一緒にいて、私のスープも生き様もよく見てきた社員です。
娘二人の亭主も右腕です。一人は今ラーメン屋で働いていて、もう一人はタイの工場に行かせようと思っています。
「明るく元気に嘘をつかない」というのを大切にしています。悩んでいることも笑い飛ばす明るさと元気があると、前向きな人たちが周りに集まってきます。下を向いていると誰も寄ってきませんよね。一人の力では限界がありますから、常に明るく元気でいることで、困ったときに誰かが助けてくれると思います。
また、嘘をつかない、というのは当たり前なのですが、私は自分の商品にも嘘をついてはいけないと思っています。弊社のスープは水と原料だけで炊いて、余計な化学調味料などは一切入れていません。嘘はつかない、それが私の生き様だと思っています。
「義理と人情とやせ我慢」も大切です。いくら他で買った方が安くても、お世話になった方から買わなければいけません。多少高くても恩を返す、という義理が大切です。また、人情がないと、寂しい生き方になると思います。例えば後から優秀な人が入ってきたから、今までずっと一緒にやってきた人を切る、という能力第一主義では良くないと思います。「あいつがいたから今がある」という気持ちを大切にしています。最後にやせ我慢ですが、経営者をやっていく中で、辛いことが必ずあります。そこで、ぐっと我慢出来る人じゃなきゃ、起業は辛くて辞めてしまうと思います。義理と人情とやせ我慢、男の哲学だと思います。
自信を持って間違えてください。怒られるかな、と心配するのではなく、やりたいことに挑戦してください。
間違えることで気付きが得られるし、そこから色々なことが学べます。学びに終わりはありませんから、自分を信じて、とにかく行動すると、人より一歩前に進めると思います。