人と同じことをするのではなく「マイノリティ戦略」で私は勝負する。
なでしこVoice代表・ABROADERS編集長 /濱田 真里
違います。たまたま行きたい国に一番安く行けるチケットが世界一周チケットだったんです。旅の目的は、現地の様子を自分の目で見ることだったので、6カ国のワークキャンプに参加することでした。世界地図を広げて6カ国に印をつけて、なんとなく線で繋いだら、「あれ、世界一周じゃん!」と気付きました(笑)。そんな流れで世界一周をすることになったのですが、旅に出る際にはもちろん苦労もありました。
両親の説得が大変でした。初めての海外ひとり旅が世界一周だったので、かなり心配されました。娘が突然、「世界一周に行ってきます」と言いだしたら普通はびっくりしますよね。母は出発当日まで「これから真里が海外に出るなんて、まったく実感がない」と言っていました。説得するために全力を尽くそうと思い、こちらの本気度を伝えるために渡航ルートを決めて現地での活動計画もすべて立てて、分厚い資料を作ってプレゼンをしました。その結果、父が「そこまでやりたいなら行って来い。お母さんはお父さんが説得する」って言ってくれて、渡航が決定。最初はそんな状態だったのですが、今や母に「今度カンボジア行ってくる」と言うと、「気をつけてね」と軽く送り出されるほど、家族がこの状況に慣れてしまいました(笑)。
大事なのは、慣れることなんだと思います。初めてのことをする時って、不安だから「やめた方がいいかも」となりがち。でも、一度やってみると意外と平気だったりすることもあります。やってみて違うと思ったらやめればいいだけのことなので、どんどん挑戦していきたいですね。
1回やってみて違うなと思って、「やめる」という選択肢を取ることはすごく大事だと思います。「自分に合ってなかったからやめよう」という選択肢は、1回取り組んでみなければ取れませんよね。取り組まない限り、ずっと「私はそれが合っていたかも」と思い続けるかもしれない。後悔をしたくないので、とにかく気になったら挑戦します。「自分の好きなものを見つけなさい」とよくいわれますが、好きなものを見つけるために、逆に「自分の苦手なものを見つける」ことも大事だと思います。
飛び込むことも、飛び込まないことも、同じくらい大きな決断で、どちらにもリスクがあります。一番大事なのは、「その決断に対する責任を自分が取る」という姿勢なのではないでしょうか。人に言われたから選んだり、やめたりするのではなく、自分の意志でやるかやらないかを判断することを、私は意識しています。そうすることで、自分の人生に対して納得感を持てるようになる気がします。
卒業後は、日系の通信会社で働き、IT企業と学校法人向けの営業を担当していました。1年後に辞めて編集事務所に所属して、2014年にNPO法人ABROADERSの編集長に就任しました。何回か働く場所を変えていますが、就職活動をしたのは1回目の職場だけです。
普通に就職活動をしたのは最初の通信会社に入った新卒の時だけで、その後は両方とも知り合いからの紹介で仕事が決まりました。しかも、どちらも次の仕事が決まらないまま辞めたのですが、辞めて1週間以内には次の仕事が決まりましたね。偶然が重なってご紹介いただいたりお声がけいただいたりして、ここまできています。
常に「こういう仕事に就きたい」というビジョンを明確に持っています。1社目を辞める時は、「発信力を付けるために、編集のことを学べる仕事をしたい」、2社目の時は「アジアで働くことを発信できる仕事をしたい」と思っていました。何も決まってないまま、前に進むために環境から飛び出したら、その時々に合う仕事をいただけました。「これをやりたい」ということだけは決めて次の道に進んでいますね。
周りの人に、「私はこういうことやりたいんです」と伝えています。自分が考えていることは、ちゃんと言葉や文字にしないとわかってもらえません。だから、色んな角度から自分のやっていることを伝える努力をします。全力で走りながら、人を巻き込みながら、自分のやりたい場所に向かっている感覚です。でも、やりながら変わっていくこともあるので、そういう時は柔軟に軌道修正します。