自分の人生は、自分で決める
株式会社コンプリート / 松尾 草介
会社は「人格のある子どものようなもの」だと考えています。会社は「法人」というだけあり、それ自体がビジョン、理念、価値観を持った一つの「人格」だと考えていいと思います。その「人格」は、経営者のビジョン、理念、価値観と必ずしもイコールなわけではなく、個々の従業員の価値観の集合体であると捉えています。
なので、創業期は「経営者=会社」だとしても、徐々に一つの人格として成長していきます。それは、親から生まれた子どもが親と同じ人格ではないということと同じではないかと考えています。ただ、別人格だから放っておくというのではなく、子どもがまっすぐ誠実に育つように、支え、導く存在が必要です。経営者は会社を支え、導く「親のような存在」であるべきだと思います。
子どもの人生が親のものではないのと同じように、会社運営や経営、意思決定を親である経営者がワンマンでやってはうまくいきません。従業員の意見やお客さまからの期待に耳を傾け、あるべき姿を模索し続けていくことが重要ですね。
会社の価値観やビジョンは、大きな世界観やあるべき姿を描いているので、理想的なものです。なので、会社の人格は、経営者である自分の素の姿よりも立派なんですね。なので、「経営者である自分も、会社が掲げる価値観に見合う人格であらねば」と思っています。これも、「子供から見て恥ずかしくない親であろう」という意識と同じかもしれないですね。
人は、得てして自分が所属しているコミュニティ以外は見えなくなるものです。学生である皆さんからは「世の中の大半が学生なんじゃないか」と見えていませんか? 社会人になると、ホワイトカラーとして就職した方は、自分の世界の大半がホワイトカラーなので、世の中の大半がそうだと思ってしまいがちです。でも実際には、そうじゃない人の方が多いんです。私も学生の頃は、「いろいろと世の中のことを見てきた」と思っていました。けれど、社会人になって、学生時代はとても狭いコミュニティで生きてきたのだと気付かされました。
私は、そういった狭い視野で人生の選択肢を捉えてしまうのは、何とももったいないことだと思っています。子供の頃、「将来はサラリーマンになって、一生会社勤めをして定年まで働きたい」と思っていましたか?「働く」というのは「誰かの欲求を満たすか、課題を解決して、その対価を得る」というシンプルなものです。「自分はこういう人のこういう課題を解決することで、人を幸せにしたい」というものがあるなら、それができる最善の方法をサラリーマンという枠に捉われずに考えてみるといいと思います。今の世の中、PCやスマホがあれば、あらゆる情報にアプローチできますし、人ともつながれます。その恩恵を最大に利用して、自分らしく生きてください。