植物由来食品で日本市場のリーダーへ
株式会社TWO / 代表取締役CEO 東義和
「テスラ社」の情報は意識して確認するようにしています。破壊的イノベーションで市場を開拓した彼らは、技術的な改革はもちろん、なにより消費者の意識を変えたり、EVに乗ることへの価値を作り出すことで市場に大きな影響を与えたと思っています。
同じくtoC事業を営む我々としては、植物由来食品がトレンディなものだけはない、普遍的で利便的なモノとして消費者の付加価値になるような「新しい食の価値」の提案を行っております。
違う視点では、「ユニクロ」などのアパレル事業を展開している「ファーストリテイリング社」も参考にしている企業の一つです。品質が良いという日本の国として持つアセット(印象)を上手くブランドビジネスに昇華することで、グローバルに展開した企業だと考えています。
そして、我々の事業領域である”食”のおいしさや品質の高さは世界に誇れるもので、グローバルで展開していくためには、こうした日本の強みを最大限に活用することは不可欠だと考えています。
当時のテスラ社のEVも2foodsの植物由来食品も今はまだ大衆向けではありません。だからこそ、一部の人向けではなく、市場自体を広げていく点は参考にしていました。
具体的には、2foodsではBtoCの店舗だけでなく、原材料をレストランやホテルに卸すBtoBにも力を入れています。我々の原材料を使った店舗が増えていくと、ヴィーガンオプションの導入にも繋がり、多様な食の嗜好性をもった人がみんなで楽しめ、結果的に植物由来食品を知り、実際に体験する機会が増えていくと考えています。
こうして市場そのものが大きくなると、ヴィーガンオプションを導入した店舗も、2foodsのブランド自体も存在感が増していきます。
我々がやっていることはただの単一プロダクトのマーケティングではありません。植物由来食品そのものの“カテゴリー創出”だと思っています。カテゴリーの創出には消費者の中にある潜在的なニーズを引き出したり、そのニーズと植物由来食品のメリットをあらゆるコミュニケーションで消費者の頭の中で結びつける必要があります。
また、こうした状況は時代の流れで変わっていくため、仮説と市場の動向をタイムリーに読み取るためのリアルなインサイト調査とのギャップをどう読み取るか、またその分析を経て何をアクションとして取るのか極めて難易度の高い判断を求められます。この塩梅が難しく、日々トライアンドエラーを繰り返しています。
植物由来食品の市場が大きい欧米では、植物由来食品は健康食としての側面が強くあります。しかし、日本はその一歩手前で、今は環境にやさしいというコミュニケーションがされがちです。このコミュニケーションはエシカル思考が根付いた欧米では受け入れられても、日本で環境にやさしいという側面だけ出すと、まだ消費者は自分ごと化しづらいのではないかという仮説を持っています。
そういった仮説に対するインサイト調査をもとに、消費者に受け入れてもらうには植物由来食品のどの側面をどう伝えたらいいのか議論を重ね、2foodsでは「おいしさ」と「ヘルシーさ」という同時に手に入れることが難しいとされてきた、相反する2つを兼ね備えた商品の展開を行っています。