未来に急がず、過去にとらわれず、常識に縛られず。今を思いっきり!
株式会社ドウゾ / 棚田信子
1969年富山県生まれ。大学卒業後7年間、商空間を創る営業企画で日本国内・アジア各国を飛び回る。2004年沖縄に移住。2008年沖縄で発想したアイデアをもって東京に戻り、株式会社ドウゾを設立、代表取締役に就任。
生命保険などの保険商品と一緒に提供される新しいサービスを開発しています。目指しているのは、そのサービスをセットすることでこれまでとは異なる視点からの新しい価値を「保険」に付加できるようになることです!
具体的には2つのサービスがあるのですが、ひとつは「保険と一緒に残す手紙」。これは、「生命保険」に合わせて、万が一の時に家族に届く手紙を残しておけるサービスで、万が一の時の備え(=「お金」)と共に、日常はなかなか伝えることができない「家族への想い」をこっそり残しておける機会を提供しています。
もう一つは、安全運転して無事故なら、ドライバーが自分の好きなところを選んで寄付ができるという自動車保険のサービスです。もともと自動車保険は、万が一の事故の時に役割を発揮するものですが、事故はない方がいいに決まってますよね!だから、これまでの保険の役割で「安心」を備えつつも、無事故だった時にちょっとした満足感を得られる仕組みにしています。これまでは交通安全というと、規則や罰則や啓蒙など、「外」から言われることが多かったと思うのですが、「自ら」安全運転をしたくなるような仕組みができたらいいなと思い、自分が安全運転をすることで、海がきれいになったり、街路樹が増えたり、何か地域に貢献できたりなど、今まで当たり前でしかなかった「安全運転」がちょっと嬉しくなったり誇らしくなったりする仕組みをサービスにしました。
私は、沖縄に4年間住んでいたんですけど、沖縄の方たちのとても心地のいい価値観に触れられたことが大きいと思います。合理性や効率とは程遠いけれど、たくさんの人を自然と豊かにしていくような・・・。そんな中で暮らしていくうちに、東京に住んでいた頃と少しずつ発想が変わっていった感じがします。
自動車保険のしくみは、「循環」というコンセプトがキーになっているのですが、こんなきっかけから誕生しています。 沖縄のエメラルドグリーンに輝くシーサイドを走っていた時、私の車が黒煙を吐いたんです。その時、環境を汚している感じがして心が痛み、何かできないかと思ったのです。そして気が付いたのが、自動車運転している人はみんな保険に入っているから、保険金で支払われる予定の分よりも、皆でもっと事故が減るように気をつければ、保険金で支払われる予定だったお金を、環境改善のことなどに回せるのではないかと。みんなが安全運転で作り出したお金を、世の中に還元すればいいんじゃないか!と思ったんです。保険会社も事故が減れば嬉しいし、社会にとっても良いことですよね。
「ドウゾ」という名前は、「お先にどうぞ」とゆとりある安全運転する風景がもとになっています。これも沖縄で触れた、ゆとりのある心地よい生き方の影響が大きいと思います。
大学卒業後、当たり前のように一生懸命働いたのですが、7年経ってふと立ち止まってしまい、「私はなんのために働いているんだろう」と考え始めたんです。そしてもっと魂の奥底から充実できるような仕事ができるんじゃないか…と思ったんです。
たまたま主人が金融関係のサービスを開発する仕事をしていたので、それを手伝ううちに、これまで「増やすため」「備えるため」などの目的で提供されてきた金融(保険)の分野で、「心も豊かになる」というような新しい価値も提供できないかと考えるようになって、楽しくてやめられなくなってしまいました。
いきなりじゃなくて、徐々になんです。考えをカタチにしていくうちに、起業という選択肢が前に置かれたというか…。
起業には「勇気」が必要と思われるかもしれませんが、振り返ってみると、目の前のモヤモヤした課題をひとつひとつクリアしていきながら、自分が提供したいことを作り上げていくうちに、それを世に出すことのワクワク感の方が先にたつ時期がきて、自然とその選択肢を選んだ、という感覚です。
何か選択を迫られて悩んだ時に、両方の道の先にある想像は、自分の狭い頭の範囲のものでしかない場合が多いと思います。考えることは必要ですが、どっちを選ぶかをシュミレーションして悩んでも、答えは出せないと思うんです。私は、多分どちらを選んでも失敗はないと思う。どっちを選んでも、その目の前にあることに全力で取り組んでいけば、自ずと道は開けていくと、思うからです。たとえ自分の思い通りにならなかったとしても、それは失敗じゃなくて、もしかしたら大成功に繋がるプロセスかもしれない場合も、よくありますしね!