電動バイクで、世界にイノベーションを起こす
テラモーターズ株式会社 / 林信吾
大学4年時から、テラモーターズ株式会社にインターン第一号として参画。大学卒業後、テラモーターズ株式会社に入社。入社して3ヶ月足らずで、テラモーターズ株式会社のベトナム支社の立ち上げに抜擢され、現在はテラモーターズ・ベトナムの代表取締役社長である。電動バイクで、世界にイノベーションを起こすべく、ベトナムという異国の地で市場開拓を続けている。
2012年にベトナムでの法人登記を済ませ、今までは独力でやってきましたが、最近では現地のスタッフを雇えるところまでこぎつけました。
ベトナムだけでなく東南アジア各国は、バイク文化が非常に根付いている国が多いです。電動バイクの開発・設計・販売を行なっているテラモーターズにとって、東南アジアは非常に魅力的な市場なので、そこで勝負していくことは今後必須だと思っています。
主に5つのことを行なってきました。
① 商品の開発
② 工場設立と販売拠点の調査
③ ベトナムのマーケットの調査
④ ベトナムにおけるネットワークの醸成
⑤ ベトナム文化の理解 の5つです。この5つを抑えておくことは、今後もベトナムで勝負していくためには必要不可欠です。その中でも、現在は年内の商品のリリースに向けて、ビジネスを進めている段階です。また、ベトナム文化を理解することは、ビジネスとは一見関係のないように見えますが、非常に重要なことだと思っています。なぜならば、ビジネスと文化は、密接に関わり合っているからです。そういう面で、現地のローカルな部分に入り込む必要性がありました。日本人が理解できないことが、ここベトナムでは日常茶飯事で起こります。私自身そこを理解できなくては、ベトナムでの成功はないと思っています。
はい。そういった面でも、成果が出始めています。やはり、なにもないところから、何かを作り上げるわけですから、はじめは大変なことばかりでした。しかしながら、大変な中で蒔いてきた種が、今年になって芽が出始めている実感があります。というのも、去年ではあり得なかったような話が飛び込んできたり、ベトナムでは知らない人はいないような大企業と話し合いの場を持てるようになったり、ということが起きはじめています。
先ほどもお話したように、ベトナムはバイク文化が根付いています。移動手段はバイクが中心なので、バイクがないと生活が成り立たないと言って良いもいいでしょう。ですので、ものすごく空気が悪いんです。家に帰って顔を洗うと、水が真っ黒になるほどです。また同様に騒音の問題もあります。それらはガソリンバイクから電動バイクになれば解決されます。環境問題の観点からも電動バイクを社会に提供したいという思いがあります。
そうですね。年間1万人近くの方が、大気汚染が原因による疾患で亡くなっているというデータもあります。
また個人的な思いとしては、ガソリンバイクはデザインの進化が止まっているように感じます。ITやファッションの領域におけるプロダクトというのは、10年前に比べて急速に進化しています。しかし、ガソリンバイクのデザインはほとんど変わっていないと私の目には映ります。それを変えたいんです。つまり、デザインという観点からもバイクの業界を進化させたいんです。
変わらない要因の一つとして、バイクの市場はHONDAとYAMAHAの二大巨頭が独占されていることが挙げられます。彼らにとって、このまま売れ続ければ、なんの問題もないんです。また彼らがガソリンバイクから電動バイクに移行することは、新聞社が紙媒体からウェブページに取り組むのと同等レベルのジレンマがあると思います。ガソリンと電気だけの違いなのですが、根本的に技術が変わります。これが、大企業の抱えるイノベーションのジレンマです。
私たちには、このジレンマを解決できる可能性があります。バイク業界にイノベーションを起こせる可能性を持っているということは働く上での私たちのモチベーションにもなっています。
実は、技術的には電動バイクに移り変わっても良いフェーズだと思っています。しかし、技術的には移り変わっていいのにも関わらず、日本の社会体制のせいでイノベーションが止まってしまっていると感じています。
電動バイクにすれば解決できる問題が多くあるのに、そのままにしておくことには単純に違和感があります。