電動バイクで、世界にイノベーションを起こす
テラモーターズ株式会社 / 林信吾
バングラディッシュやカンボジアといった海外の土地を訪れました。バングラディッシュではグラミン銀行にも行きました。そこで、世界の格差というものを肌で感じることができました。
はい。バングラディッシュの村では、たくさんの子供と接する機会がありました。彼らはそれぞれ目を輝かせながら、医者になりたいとか弁護士になりたいといった夢を語ります。しかし彼らの環境下では、100%不可能だと思われるぐらいに彼らの置かれている環境は劣悪でした。大学に通うお金もなければ、都心に行くことさえも家族に反対される始末です。それほどまでに激しい貧富の差があります。 そんな現状を目の当たりにして、将来はなんとかこういった状況を解決するようなスキームを作り出したいという思いを持ち始めました。
はい。また帰国前に英語の必要性を感じ、フィジーで3ヶ月間の語学留学をしたことも、良い経験でした。今のベトナムでのビジネスにも役立っています。一方で、テラモーターズのインターン生としての一年間は辛いことも多かったです。はじめはHPも名刺もない中でのスタートでした。もっぱら営業に行くときは、軽トラックに電動バイクを乗せて営業先に向かいました。遠い時は、広島まで行ったこともあります。この一年間では、家に帰った記憶がほとんどありません。一年の大半をオフィスで寝泊まりして過ごしました。
しかし、この辛い一年間があったからこそ、圧倒的に自分のレベルは向上したと思います。
選ばれたときは嬉しかったですね。若くして海外支社を立ち上げることは、なかなか体験できるものではありません。
もちろん行く直前は、不安はありました。それは生活上の不安というよりは、むしろ仕事上うまくいくかという不安です。しかし、不安を抱えて現地に赴いたものの、実際に向こうで生活してみると、現地の人がとても親切にしてくれましたので、その不安は徐々に和らいでいきました。
先ほども述べたように、商品の発売、リリースを目指しています。確かに、現時点でも色々なビジネスの話が、飛び込んできて、当初に比べると軌道に乗り始めている部分も多いのですが、なんといっても商品、プロダクトです。実際に商品を発売してみないとわからないことがたくさんあります。もちろん、それに付随して、工場立ち上げ、部品会社との折衝、人材採用、ウェブサイト制作や代理店の開拓など、数えたらキリがないほどの業務も同時並行で行なっていかなくてはなりません。そこの部分も、今後とも日本とうまく連携しながら進めていきたいと思います。
もちろんです。製造業を知っている人にとっては、テラモーターズの展開は、非常に早いと理解されています。これだけの人数でこれだけのスピード感を持ってやれている製造業の会社はなかなかない、と自負しています。
ベトナムでの立ち上げは、プレッシャーを感じますが、世界にイノベーションを起こすべく、スピード感を持って取り組んでいるつもりです。
実はこれまでは、思ったほど大きな不安やプレッシャーを抱えてはいませんでした。 しかしながら、それが変わった出来事が あります。それは、現地のスタッフを採用したことです。そのことにより自分が代表だという意識が、以前にも増して、生まれてきました。
しかしながら、それは単純に不安やプレッシャーということだけではなく、自分の言葉や行動に対して責任感が出てきたとも思っています。それが、今のモチベーションにもなっています。これはインターン時代、近くで徳重社長の姿を見てきたおかげかもしれません。
たくさんありますが、人としての器がとてつもなく大きいところです。経営に関しても、プロダクトに関しても採用に関しても、驚くほど常にフラットな目線を持っています。そして、常に意見も聞いてくれます。
なにより意思決定のスピードが早い点も尊敬しています。正確に言うと、意思決定をするフローを完了させるスピードが早いです。それを可能にしているのは常に思考を張り巡らせ、広くあまねく情報を収集しているからだと思います。私もこの徳重社長の姿勢を見習わせていただいています。
例えば私は、ベトナムでは市場調査の会社を使っていません。独自で市場調査をし、より広く正確なデータがとることに成功しました。テラモーターズにいると、そして徳重社長の下で働くと、それが自然と身につくようになるんです。
その時その時に目の前のことに全力で取り組むことが大切だと思います。フィジーでの語学留学中は、死ぬ気で英語を頑張りました。それが今のベトナムの生活に役立っています。幼少から高校ではサッカーに精を出していたのですが、そのおかげでベトナムでもサッカーを通じて、現地の人とコミュニケーションをとることができています。
スティーブ・ジョブズの話で、点と点を繋ぐ話がありますが、点を作らないと繋ぐための線も書けないわけです。今テラモーターズで、全力で取り組んでいることが、大きな点となって、将来活きてくると信じています。
当たり前の話なのですが、残念ながら、今後の日本産業の大部分は伸びないと思っています。というのも、ベトナムでの大卒の初任給は300ドル/月で、彼らは英語も話せます。一方で、日本の初任給は、2000ドル/月ぐらいあるのに、多くは英語を話せません。今後日本市場が縮小し、グローバルな展開をしていく中では文字通り、グローバルカンパニー化する会社が増えていくのは明らかです。彼らが日本人を採用するメリットはどこにあるのか?その点を考えて、私たちは行動していく必要があると思います。
その通りです。そのために、大学生なら今のうちに海外を、自分の目で見ておくことが良いと思います。そういう現実を早めに見ておくことで、自分のやるべきことが見えてくるかもしれません。上記のようなことは誰もが言っていることですが、肌で感じている人と文字でしか見たことないのでは、大きく変わってくると思っています。
そして、できれば「住む」ことをお薦めします。少なくても最低何週間かは滞在したほうが良いでしょう。やはり旅行気分では、見えないものがたくさんあります。 また他の人が行かないような国に行ってみるのもいかがでしょうか。話のネタにもなりますし、その国にネットワークがあるということが今後の強みになります。
私も2013年は、勝負の年ですので、頑張っていきたいと思います。