世界と、一緒に輝く
株式会社HASUNA / 白木夏子
1981年に鹿児島県で生まれ、愛知県で育つ。2002年より英ロンドン大学キングスカレ ッジで、発展途上国の開発について学ぶ。留学の最中に、南インドを訪れ、発展途上 国の貧困を目の当たりにする。
それ以来、発展途上国での貧困をなくすためになにが できるかという構想を描き始める。国連関連団体でのインターン、投資ファンド事業 会社での就業を経て、2009年HASUNA Co.,Ltdを設立。
東京・南青山本店、名古屋栄 店に続く直営店3店舗目が、2013年3月伊勢丹新宿本店1階にオープン。
著書に「世界と、いっしょに輝くーエシカルジュエリーブランドHASUNAの仕事(ナナロク社)」がある。
エシカルなジュエリーブランドを制作販売する事業を展開しています。エシカルなジュエリーとは、 人や自然環境、社会に配慮した素材を使用したジュエリーのことを指します。HASUNAのジュエリーは生産・流通過程を可視化することで、 児童労働や搾取を防ぎ、かつ環境破壊も抑えることを可能にしています。素材には、ルワンダの元ストリートチルドレンだった青年たちが磨いた牛の角、 ベリーズの貧困層の職人が磨いた貝殻や黒珊瑚、ミクロネシアの産業活性化を目的に始まった養殖南洋パール、 コロンビアから仕入れるフェアトレードゴールド、カナダ産の環境に優しい採掘方法をとったダイヤモンドなどが挙げられます。
例えば途上国の職人やアーティストなどは、社会的な立場が弱く、貧困に苦しむ人々が多いのですが、 HASUNAでは彼らと直接取引をすることで、彼らの労働環境改善や正当な報酬の支払、後継者育成の支援など、 プラスの働きかけをしたいと考えています。彼らが加工した素材を用いて、ジュエリーをデザイン、制作販売しています。
販売においては、私たちHASUNAは3つのプロダクトラインを用意しています。 一つは世界を“旅”するように、好奇心を刺激するファッション性の高いジュエリーコレクション「Voyage(ボヤージュ)」で、 中心価格は1万円から3万円のものになります。もう一つは、結婚指輪・婚約指輪などのウェディングリングを中心とした アニバーサリーコレクション「AIMÉE(エメ)」になります。こちらは、金・プラチナ・ダイヤモンドを使用し、 価格は結婚指輪はペアで15万円から、婚約指輪は30万円からになっています。そしてもう一つは、ブランドアイコンである 「蓮」をモチーフに、18金フェアトレードゴールドと天然石を使用したコレクション「bijoux(ビジュー)」です。 価格は3万円から20万円まで用意がございます。
はい。こちらも非常に好評を頂いております。 以前のお客様の中で、美しいジュエリーの裏側にある児童労働や搾取について知っているご夫婦がおられました。 そのご夫婦は、そういう背景を知っていたので、結婚指輪を買わずにおられたんですね。しかし、HASUNAのジュエリーのことを知って いただいて、結婚6年目にして、結婚指輪を買いに来てくださいました。お客様から、そのエピソードを聞いたときは、非常に嬉しかったです。
私も、もとから知っていたわけではありません。学生時代に発展途上国の貧困について学んでいる内に、先進国が後進国に対して何ができるかを考えるようになりました。しかし、それも頭の中で考えていただけでした。 短大を卒業した後に、さらに貧困について学ぶためにイギリスの大学に留学しました。転機は、留学1年目の夏に、実際に自分の目で「貧困」を見ようと思い、 南インドのタミール・ナーデゥ州を訪れたことです。そこで目の当たりにしたものは、衝撃的なものでした。
農業奴隷や家畜奴隷、娼婦の方など、本当に色んな方がいました。その中で、鉱山労働の方が実際に働いている姿も初めて目にしました。 村全体の雰囲気も活気がなく、暗かったのです。一方で、鉱山労働者の方々が発掘しているものは、私たちの身近にあるものでした。 ジュエリーに使われる鉱石だけではなく、雲母やレアメタル、大理石など、私たちの生活を豊かにするものが採掘されていました。 彼らは、素手で、そして裸足でゴツゴツした鉱山に入るなどの過酷で危険な労働環境のもと、自分たちの生活には関係ないものを採掘しているのです。 彼らに話を聞くと、「生きていること自体が辛い」と口々に言いました。
そうですね。年間1万人近くの方が、大気汚染が原因による疾患で亡くなっているというデータもあります。また個人的な思いとしては、ガソリンバイクはデザインの進化が止まっているように感じます。ITやファッションの領域におけるプロダクトというのは、10年前に比べて急速に進化しています。しかし、ガソリンバイクのデザインはほとんど変わっていないと私の目には映ります。それを変えたいんです。つまり、デザインという観点からもバイクの業界を進化させたいんです。
インドにはカースト制というものが存在して、生まれたときの身分は一生変わることなく、そこで死んでいく…そんな貧困のループをだれも断ち切ることができずにいます。 そのような状況を自分の目で見て、耳で聞いて、肌で感じて、なにかがおかしいと思いました。詳しく調べてみると、当時1999年の時点で1300万人の鉱山労働者がいて、 その内100万人が14歳以下の子供でした。そして2010年には、鉱山労働者の数が2000万人に増加しています。
私は企業側にも責任があると思います。安いものを買い叩いて、それを高く売る、このような資本主義の在り方が覆されないと貧困の状況は変わらないと思います。 とりわけ、鉱山労働の状況は。ひとつひとつの会社が、自分たちが扱っているものの素材が、「どこから」「どういう経路」で流通しているのか、 そこに児童労働はないか、企業が責任を持って確認しなければならないと思います。もし問題があったら、解決に臨むことこそが、企業の責任だと思っています。