”シャカイモンダイ”の解決から民主主義のアップデートを目指す若き起業家にインタビュー!
一般社団法人リディラバ/代表 安部敏樹
1987年京都府生まれ。2006年東京大学入学。
大学在学中の2009年に『リディラバ』を設立、2012年に法人化。
KDDI∞ラボ最優秀賞など、ビジネスコンテスト受賞歴多数。
現在は、東京大学で、大学1~2年生向けの「社会起業」をテーマとした講義を持つ。
また、東京大学大学院博士課程(専門領域は複雑系)に所属し、研究活動にも従事している。
<Travel The Problem – スタディツアープラットフォーム>
学びを旅する。「普段知ることのないこと」を知る旅に出てみませんか。
https://traveltheproblem.com/
<TRAPRO(トラプロ) – イシュープラットフォーム> TRAPROはリディラバが提供する社会問題の百科事典です。
http://www.trapro.jp/
<リディラバ -Ridilover>
リディラバはスタディツアーや修学旅行として色々な社会問題や地域課題の現場に人を送り込む、という事業をしている一般社団法人です。 また、そのツアーの基となる社会問題を、誰でも簡単に投稿してその現場にも行けるサービスとして TRAPROというメディア、社会起業家カンファレンスR-SICなどを運営しています。
「誰もが自ら意識しなくても、自然と社会問題に触れられる状態を作ろう。社会の無関心を打破しよう」というのがリディラバの理念です。
私たちは社会問題を「個人の問題意識に端を発し、一定の人がその問題に対しての社会性を支持しているもの」と定義しています。
例えばここに段差があったとしますよね。これを社会問題だと考える人はいったい誰でしょうか。足の悪い人だと思うかもしれません。でも、これを誰だって社会問題として考えてもいいと思うんです。ホームレスの人たちが住むところが無いという問題も、当事者が100人集まっただけでは根本的な「住むところが無い」という問題は解決できないでしょう。
問題解決のためには、当事者以外の人が関心を持っていけるような世の中が理想的ですが、実際には「民主主義の弊害」でこれができていないという現状があります。
まず、民主主義の話をしましょう。民主主義には二つの欠陥があると思います。
一つ目はいろんなソーシャルイシュー(社会的論点)に対してのアクセスがすごく悪いこと。日本の外交問題について投票しなくてはならないとすると、外交についての具体的な知識がないといけませんよね。知識を持っていることを前提に作られたのが民主主義社会ですが、現状ではり社会問題に興味を持ちにくい構造になっています。
もう一つは、仮に知識を持っていて、社会問題にアクセスできたとしても、何かをしたいと思うかどうかは別問題ですよね。その問題にかかわるインセンティブ(動機づけ)の設定が無いので、関わろうとしない人が多いのです。自分にメリットが無いことにわざわざ関わろうとする人は少ないものの、社会問題に関わるということが人びとの善意に任されすぎていますね。
リディラバ組織としては、このアクセシビリティ(近づきやすさ)を作ることと、インセンティブ設定をすることの二つを解決したいと考えています。
そうですね。民主主義をアップデートしたいと考えています。
そうです。一つ目のアクセシビリティの問題は整備が可能です。そのため、私たちは例えば社会問題の現場を体験する旅行事業を行っています。そういった、体験をすることで当事者意識を持てるような「広義の意味での情報」というのは重要なんです。リディラバでは気になる社会問題に最短ツークリックで行けるようなスタディーツアーのプログラム、中高生の修学旅行、企業研修なども手掛けています。
二つ目のインセンティブ設定ですが、これもゆくゆくは変えていきたいと考えています。今では就職や進学に必要だからTOEICなどを受けることは当たり前ですが、全く何の役にも立たないのにTOEICを受ける人なんていないかもしれません。それと同じで、社会問題に対しても、何かインセンティブがあればたくさんの人が関わるようになると思いますね。