番組制作業界に革新を起こす起業家
株式会社さんばん代表取締役/ 柴田 紀之
インターンの大学生が起業家へ取材する!起業家インタビューのthe Entrepreneur(アントレプレナー)
番組制作をメイン事業として行なっていますが、弊社の映像を作る技術を活かして、番組以外の方法での新たなサービスの展開を検討しています。
既にいくつか新たな試みを行なっていますが、十分な売り上げが立つほどの事業化には未だなっていません。そういう意味で、今はまさに弊社の大きな転換期を迎えている時期と言えるかもしれません。
いずれにしても、テレビ番組制作と映像コンテンツ制作を中心とした事業会社として今後も運営していく方針です。
番組制作の業界でもニッチな部分を攻めるようにしています。大手と同じことをしても仕事が取りづらくなるだけですので、弊社の得意分野の1つとして「生活情報」に重点を置いています。このように今後もいくつかのカテゴリーに特化した番組制作のスタイルにしていくつもりです。
特に大手やタレント事務所が関与しやすい「バラエティ」カテゴリーは一切手をつけない方針をとっています。
弊社で言えば「料理番組」がメインとなります。来年度で60周年を迎えるNHKの「きょうの料理」は日本で一番古い料理の番組になるのですが、そこに関わる外部の番組プロダクションの会社は弊社のみです。このように弊社も料理番組に10年ほど携わるようになったことで、料理の先生や有名シェフの方々と仲良くして頂けるようになりました。今では「料理の番組といえば、さんばんさんに任せておけば大丈夫」と仰って頂けるほどの信頼も頂けるようになりました。
「生活情報」というカテゴリーで言うと、NHKの「あさイチ」でも様々な企画を担当させて頂いています。人脈を大事にして、番組制作のノウハウをもっと伸ばしていきたいと考えています。大手があまり注目していないニッチな部分に今後も特化していきたいですね。
もちろんNHKの番組制作を「やりたい」と言っても、簡単に任せてもらえるような業界ではありません。会社を作る前からの実績や人脈がないと基本的に番組を作らせてもらえるチャンスはなかなかありません。私の場合も、起業前の人脈と制作実績、そして現在でも関係を築けていけるような日々の努力を怠らなかったために、今でもNHKの番組制作に携わることができています。
そうですね。最近だとWEB系の制作会社で非常に綺麗な映像を作る会社もありますが、地上波で流すにはまた別のクオリティが必要となるため、技術的にもテレビ番組業界への参入は難しいと思います。
それに、番組制作会社は商売としては割が悪いので、そもそも参入がお勧めできないですけどね。(笑)
日本のテレビ業界は、利益構造が悪いのです。利益構造をわかりやすく例えるとピラミッドを想像して貰えば良いです。ピラミッドの頂点にはスポンサーがいます。つまり電通と博報堂です。その次に偉いのが大手キー局です。そして大手キー局の資本が入った子会社が下の層に続いていきます。そして順々に層を降りていった一番下の層に私たちがいるのです。日本の番組制作を支えているのは我々のような最下層の番組制作会社なのですが、上の層の会社から私たちの会社に仕事が回ってくるまでにスポンサーからのお金はどんどん抜かれていってしまいます。そのため、我々に来る仕事にはほとんど儲けが残っていないのです。