常日頃から準備
株式会社井之上パブリックリレーションズ代表取締役社長 / 井之上喬
マネジメント成功の為のプロセスなんですが、私は第一にライフサイクル・モデルというものを開発しました。これは私のブログのメンバーになってメールマガジンに登録してくれれば詳細を見る事ができます。
ライフサイクル・モデルは二次元上で表すと円形なんですが、立体で表すとスパイラルになっているんです。ゴールがあり、現状を分析してPRの目標やターゲットを考え、ターゲットに到達する為のコミュニケーション・チャンネル、そして戦略、PRプログラムそのものをつくり、最後に分析評価があり必要であれば修正を行い、それが次の次元へ続いていくという構造です。このモデルは就職活動や恋人探しにも使えるんですよ(笑)。
現在少子化が進んでいるじゃないですか?コミュニケーションの始まりはもちろん親子間です。しかし成長過程では「兄弟」との関係だと考えています。だけど1人っ子だと家でのコミュニケーションが希薄になり、切磋琢磨の機会もなくなる。昔と違って食べるものがないわけではないから経済的には豊かですが、逆にハングリー精神がなくなってくる。良い意味で捉えると親の教育が行きとどき、きちんと考え真面目に授業も受けるなど慎重で賢い人が多くなっていると思います。昔は破天荒な人が多かったですが、現在は良くも悪くも型にはまった人が増えていますよね。その反面、ボランティアへの参加の増加等から「社会の為に役立ちたい」と考えている学生さんも増えている印象を受けます。
留学の面でも昔は豊かな生活に憧れてアメリカなどに留学する学生が多かったのですが、日本でも申し分ない生活ができる現在はそういう学生さんは少ないように感じます。逆に「異なった国の文化に触れてみよう」という思いから留学する学生さんは多い、だから米国留学生は減ってもアジア地域への留学生は増え、むしろ全体の数字では増加しています。グローバル時代ですから世界で勝負しようという人は積極的に留学して欲しいですね。
日本人って意外と自分を良く理解していない人が多いんですよ。自分の弱み等から目をそむけてしまう人が多いのですが、強みにも弱みにも逃げずに向き合う事が重要だと思います。弱みをどう克服するか、強みをどう社会に役立てていくか考えを巡らせる事で個人の個性が出てくるんです。若者にはそうして個性を主張できる人間になって欲しいですね。
最終的にはしっかりした目的意識をもち、「自分の夢を叶える為にさまざまな視点をもってどのように自分の強みを活かしアピールしていくか」というところに行き着くことが理想です。
「継続は力なり」ですよね。人間って長く生きていると他の事をやってみたくなるものなんですが、やっぱり1つの事を継続する事は重要です。
かく言う私も「メーカーの社長をやりたい」と思った時もあり、少ない予算で参入して会社を潰しかけたこともありました。 ダーウィンの話によれば生物体はいかに生命を存続させるかという事が非常に重要という事で、会社も同じなんです。その為には売り上げを一時的に上げる事よりも如何に外部環境の変化に対応できるか、世の中の変化にどう適応しそしてそれを持続させるかがカギです。
またパブリックリレーションズ自身、それを大きく捉えるとその為に行う側面が強いんです。パブリックリレーションズによって自分達が存続できるような環境を作り上げるんですよ。
私は日本で初めてPRで博士号を取得しましたが、博士号の研究テーマは「自己修正モデル」でした。如何に個人や組織に自己修正が必要なのか、その為には倫理観や相手との相互のコミュニケーションを取る環境が必要であり、それを人間が自分の自由意志で修正していく事が重要であるといった内容でした。
ハーバード大学で臨床医学者だったウォルター・キャノンが1930年頃に唱えた「恒常性維持」、別名ホメオスタシスという考えがあるのですが、これはダーウィンの考えにとても似ているんです。要するに生物は外部環境の変化に適応する為に自身を調節できなければならないんです。私の理論は外から圧力をかけられて行うだけではなく、自身の自由意志で修正できなければいけません。
やっぱり「倫理観とはどういうものか」という事を考えていない企業が多いですね。
倫理観とは簡単に言うと善悪の基準なんです、本当はもう少し難しいものなんですが。今の日本企業にはそれがないから法律に頼ろうとします。でも法律は人間が作ったものなので元々の人間がしっかりしていないとダメなんです。そんなバックボーンのある人間が日本社会には育っていないんですよ。
倫理観はGPSに似ているんです。A地点からB地点へ向かうときにこの方向が正しいと思ってもしっかりとした方向感覚、すなわち倫理観がなければ間違った方向に行ってしまいます。GPSがあって方向や行き方がわかるように、倫理観があって事業の正しいあり方や事業の方向性が定まるんだと思いますね。