「社会貢献」をする人を、支える企業であり続ける。
株式会社パブリックオンサイン / 櫻又卓
そうですね。利益を求めずにムーブメントを起こそうと奮起している人がいる時に、それをバックアップ、サポートする十分な仕組みがあるとは言えないのが現状です。
やはり、利益が発生しないことに、民間企業が積極的に関与することはできないんです。またはしようとしませんでした。当然、大手企業や中小企業でも社会還元の一端として、積極的にメセナ活動やCSR活動をしているところはありますが、
2012年のCSR活動を実施している上場企業は50%程度なんです。約半分の上場企業(上場企業数は約4,000社/2012年)、多くの非上場企業(200万社以上)は、営利活動のみを行い、営利以外の企業活動はしていないということになるんですね。
それが経済社会であり、当然なことです。民間企業は営利活動を行い、利益を上げ、従業員を幸せにする、株主に還元する、資本主義の原理原則です。利益にならない課題解決は基本的に難しいことなんですね。
そうですね。NPOや市民団体などが立ち上がり、営利活動に繋がらないけれど、困っている人の課題解決に向けて活動を行っています。ただ、現実を見ると、約9割のNPOが、資金難で運営がままならないという統計があるんです。なので、非営利団体に対して、私は全力でサポートして、その分野を活性化していきたいと考えています。行政も行っていますが、なかなか細かいことまでは物理的に手が届かないんです。そこにサポートを入れるのは絶対に必要なことだと思っています。
これは難しいんですが、決して教育だけが悪い訳でもないと思うんです。ここには文化や宗教が絡んでいます。特に宗教の影響が大きいですね。アメリカには、「チャリティー」というものがベースにあります。寄付を行うことによって、報われるという文化があるんです。日本人が知っている「寄付」とは大分感覚が違いますね。日本人の中には、「寄付」に対してメンタルブロックを持っている人が多いのも事実だと思います。
しかし日本人の倫理観、道徳心は世界でも素晴らしく、近いうちに、NPOや社会的企業が就職ランキングに入る日が来ると思っています。実際に、NPOなどに就職するための教育やサービス、インフラも増えてきています。企業の社会活動も増え、CSRも盛んになってきている。東北でも多かったボランティア学生は増えてきているし、当社にインターンを希望する学生やインタビューする学生からの問い合わせも多く頂いています。
結局、「1対1」なんです。テレビなどのメディアを通して見てしまうと、「1対何万」「1対県」と感じてしまうんですね。現場に行った時には、「自分と、目の前にいる人」なんです。目の前の人を喜ばせることが本当に大切なんだという感覚を覚えました。
やっていることはすごく小さくても良いと思うんです。それも「支援」だと思うんです。決して、規模だけが大事じゃないんだなと現場に行って感じましたね。「1対1」のコミュニケーションの大切さは本当に強く感じました。