クールな目を養う
ブルーカレント・ジャパン株式会社 代表取締役 / 本田哲也
フライシュマンで働いて、仕事も慣れてうまくいくようになって、本も出版させていただきました。業界の中で目立ってきて、PRの仕事自体は好きだなと。そのとき30代半ばで、まあ転職は成功だっただろうと。まだまだPRはおもしろいからやるんだけど、そこでふと思ったのが、PRって仕事が広すぎるということです。商品を売るためのPRもあれば大統領選のようなPRもありますし、不祥事の対応のプロもいます。PRの世界はすごく広くて、全ての分野の専門家というのはありえないんです。みんな何かしらのプロなんですよね。なので、PRの中のどこかで突き抜けたプロにならないといけないなと思って、マーケティングのプロを目指すようになりました。しばらくすると、Web2.0という新しいデジタルの波が来て世界中が盛り上がって、新しい広告会社ができたりとか、いわゆるバズエージェンシーができてムーブメントになったわけですよ。これは今までの広告代理店でもないし、PR会社でもない、まったく新しい会社が生まれるときなんだなと思いました。そんな世界のムーブメントの中で、新しいエージェンシーを作るなら今だと判断し、2006年になってブルーカレント・ジャパンを起業しました。
PR業界はまだまだ日本で伸びるので、この領域にいる会社にはどこも可能性があると思うんですよね。しかし、今までみたいなPRだけをやっているとどんどんニーズがなくなっていきます。お客さんのいうことを聞いて、プレスリリースを出してマスコミになげますとか、雑誌の編集部になげます、といったパブリティシィ活動も大事です。ただ、それが我が社のサービスの全てですと言ってると、差別化できないし、どんどん状況が悪くなってくると思います。僕らは、クライアント企業の事業戦略やマーケティング戦略の仕事までカバーしています。本当にクライアントさんの相談相手として仕事をしていく。そういうスタンスに強みがあると思うので、PRの中で競争するというよりも、コミュニケーション業界全体の中で競っていく必要があると思っています。
1つ目は、企業の理解が進むことですね。まだまだ足りないですよね。PRは世界的には100年前にできている概念なんです。日本ではまだ10歳くらいです。小学生くらい(笑) 毎日、広告とPRの違いがわかりませんという声を聞きますし、それが大企業の偉い人でもそうなんですよ。だからある意味ではチャンスなんです。2つ目は人材が増えること。PRの仕事をできる人が少なすぎるので、学生はチャンスなのでぜひPR業界を志して下さい。PRの仕事がちゃんとできる人が今の10倍くらいにならないと、本当に必要なところに対応できません。