クールな目を養う
ブルーカレント・ジャパン株式会社 代表取締役 / 本田哲也
広告とかデジタルとか、みんな好きですよね。それも良いんですが、世界レベルで見ると日本の若者に欠けていると思うのが、ジャーナリズムの理解ですね。そこは欧米に負けてますし、アジアにも負けていると思います。「あの広告かっこいいよね」とか、「あのクリエイターすごいな」と言った話もいいんですが、「なぜこのニュースが今話題になっているのか、なぜこのニュースは報道されてこのニュースは報道されないのか」といったことは、みんなあまり話さないですよね。世の中を大きく動かしているのは、報道です。なので、報道とネット上のクチコミの関係などを勉強するのがいいと思いますね。具体的にやることといえば、人に会うことです。新聞記者や、雑誌記者の人に話を聞いたほうがいいと思います。「新聞社に就職したい、したくない」という話ではなくて、「情報はどのようにつくられるのか」ということを学びなさい、ということです。ジャーナリストや報道、番組制作なんかを知ったほうがいい。日本の場合、広告業界のプロでもあまり知らない人も多い。まず広く世の中に興味を持って欲しい。あとはみんな素直すぎます。学生に講義をすると、あの裏がどうなっていると言うと、「ええそうなんですかー!」と反応する。表面的にはそうなんですが、どういう裏のストーリーがあってこうなってるとか、疑ってかかるとか、何か流行っているけど、誰かが仕掛けてるんじゃないか?とか、そういう「クールな目」というか、視点を持ったほうがいいと思います。情報をそのまま受け取りすぎなんです。情報がどのように出てきて、広がっているのか、「クールな目」を養ってほしいです。
あらゆるコミュニケーションにPRが組み込まれていきます。コミュニケーションに携わる人はPRをわかっていないといけません。例えば、「新しく発売する水なんです。これを世の中に広めてほしいんです」という仕事が来ます。それが今後は、商品そのものを作るところからの仕事になるんです。メーカーは、世の中に出ですぐ広まるような商品を作りたいと思うわけです。でも今はそれができていない。とりあえず商品を発売して、そこから僕らに相談するわけですよ。僕らは、「発売する1年くらい前に言ってくれたら」となるわけです。それに企業も気づいてきたので、1年後に出る商品のプロジェクトもあるんですね。それは従来のPRの話というより、商品開発です。PR会社は商品やサービスを広めるプロであるということは変わりませんが、これからは作るプロにもなっていけると思います。
そうです。例えば、食品メーカーが、来年出すカップラーメンの味をどうしようかと考えるじゃないですか。味噌がいいのか塩がいいのか、それを決めるってことです。◯◯味にしたほうが来年からは流行りますと。従来は「広め方」を考える立場でしたが、味とか、色とか、そういうものを決めていく立場になるでしょうね。
「クリエイター」になれることだと思います。クリエイターというと商品とかサービスをつくる人ですよねと言われますが、それは狭義のクリエイターで、市場もつくらないといけません。自分の会社が有名になるのも嬉しいんですが、市場が広がっていくことが一番嬉しいです。経営者は偉大なクリエイターでもあるべきです。
どんどんやりたいと思ったことをやってください。僕の学生時代よりも100分の1くらいリスクが減っていると思うんですよね。昔は何か新しいことを始めようと思ったら、もっと大変でした。やろうかやらないか迷っているなら、とりあえずやってしまいましょう。
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