本質を理解する
株式会社BuleMeme / 松岡 真功
本質を理解する
株式会社BuleMeme / 松岡 真功
私は大学時代に印刷業界のコンサルタントとフリーランスのデザイナーの方と一緒に小さなビジネスを行っていました。
その頃はホームページを作成すると1ページ300万円位が相場でしたが、私たちはそれを1ページ30万円という10分の1の価格で制作したり、作成方法自体を教える仕事を受けたりしていました。当時の企業のホームページは簡単な紹介等であっても数10ページくらいにはなりますから、それなりのまとまった売上が立つビジネスでした。
その他にも、バーチャルリアリティを活用したコンテンツ作成やビデオの生中継をインターネットで公開するシステムの開発、太陽パネルや風力発電を使ってパソコンを動かしたり、興味のままにモノ作りを行っていましたね。そして、資金が底をつくとホームページ作成に戻るというサイクルでした。
大学では教育学部に所属し物理を専攻。アルバイトは家庭教師や塾の講師をやっていましたが、塾の講師は約3ヶ月でクビになりました。授業中に生徒と抜け出して地元のお祭りに行ったり、生徒同士で中古CDの取引をさせたりしたので、ある日「もう来なくていいよ。」と言われてしまいました(笑)。
ITに興味を持ったのは小学校3年生位の頃です。父親が仕事でパソコンを使っていましたので、家庭の環境が大きいですね。父親のパソコンを勝手にいじったり、壊したりしてよく怒られていました(笑)。今の業務に興味を持ったのは、社会人になって5年ぐらいたったころでしょうか。「企業経営にITはどのように活用されているのか?」と感じ始めたのがきっかけですね。
大学時代の経験は色々なところで活きています。学校で学んだことも役に立ちましたが、大学の先輩から勧められて始めた高齢者の方や幼稚園児にパソコンを教えるアルバイトは、とてもよい経験になりました。
高齢者も幼稚園児もパソコンについては何も知らない者同士なのですが、教え方は全く違います。高齢者の方はパソコンスキルを身につけたいと思って講習を受けますので、マウスの持ち方、ボタンの押し方からしっかりと教えます。
逆に幼稚園児は純粋に楽しい、遊びたいと思って講習を受けますので、自ら楽しそうにやって見せます。
例えば、クリスマスの時期であれば、園児の目の前で一からクリスマスカードを作ってあげます。そうすると、園児がどーっと集まってきて、すぐに作り方を覚えてドンドン成長していくんです。 このように、同じパソコン初心者でも彼らの意識が全く違うので教え方も全く異なります。 ただ、その両方の教え方に共通して言えるのは口で言うだけでなく、実際にやってみせなければいけないという事です。口頭だけで指導してもなかなか伝わりませんし、相手は命令された気持ちになり、やる気を損ねてしまう可能性があります。
これは経営をしていく上でも言えることで、経営者が開発者に向かって口頭だけで指導しても、彼らは心のどこかで「お前にはできないだろ」って思っている事が多いのではないでしょうか。実際に経営者として開発者に対し技術上の指導をする事はとても難しいことです。ですが、やって見せなくても本質的な部分を理解するという努力は必要だと考えています。
今振り返ると、大学時代のアルバイトや教育学部での授業で身に付けた「人を教育する」ということ本質的な部分は、今の仕事のベースになっていると感じています。学生自体に仕事をグビなった経験も、物事にはバランスが必要だということが理解できましたので、とても役に立ちました。
大学卒業後は開発者としてアルバイトで知り合った方のベンチャー企業に入社しました。社員5人ほどの小さな会社で、データベースエンジンの開発や画像処理関係のソフトウェア開発を行っていました。そこで2〜3年ほど働いた後に、インターネット取引専業の証券会社の創業期に開発者として入社し、大規模な金融システムの開発を経験しました。その後、ドイツの基幹業務の最大手企業に転職し、ERP(enterprise resource planning)のテクニカルコンサルタントとして多くの業務改革プロジェクトを経験しました。それから、ベンチャー企業やサーバ機器の大手企業を経て、今の会社に至ります。自分の価値を提供でき、かつ学べる場所を探しながら転職をしていたような気がしますね。