もっと多様な日本社会へ。ゲイの起業家が挑む新たな挑戦
株式会社Letibee 代表取締役/林 康紀
僕は大学に入って、自分はゲイだと周りの人にカミングアウトしました。慶応SFCは個性的な人が多くて、他の人とは違うことを面白さとして受け入れてくれる雰囲気がありました。そんな雰囲気のおかげもあってどんどんカムアウトをしていく中で、周りの人にとって「ゲイの林」というキャラクターに仕上がりました(笑)なので、慶応SFCに入って良かったと思います。大学という環境要因はとても大きかったと思います。
考え方の面で言うと、哲学書の影響もあります。私はもともと哲学書を読むのが好きでした。 中でも、西洋哲学が好きで、読んでいるうちに、「社会のために役に立とう」「自らの社会的な役割を全うしよう」などといった考えに影響され(単純ですね)「自分に課せられた役割って何なのだろう」と考えていくようになりました。
そこで、ゲイでそのことを周りにカムアウトしていて、社会に貢献しようとする意志を持った人って日本の中でも相当少ないんじゃないかと思い、自分の役割はこれなんじゃないかと思うようになりました。 だからこそ、自分をさらけ出すのも社会における自分の役割だと思ってるので、 怖くないです。
あとは、自信というよりは、小さいころは虐待やいじめ、貧困などの負け続きの人生だったので、「負け犬人生から這い上がりたい」という思いもあります。
「ストレートというのは、無限にあるセクシャリティの中の1つでしかない」ということを意識すると良いと思います。
セクシャリティというのは、主に性自認、性的指向、身体的性別の3つに分かれています。 これら3つが掛け合わさって構成されるセクシャリティというものは非常に多様で、ストレートは、セクシャリティのうちの1つでしかありません。
例えばストレートの男性は身体的性別が男性で、性自認が男性、性的指向が女性ですね。ゲイは身体的性別が男性で、性自認が男性で性的指向が男性に向かっていますし、トランスジェンダーは身体的性別と性自認が一致していません。 「ストレートが普通」なのではなく、「ストレートというのは、いろいろある性の形のうちの1つでしかない」という意識を持つと良いと思います。
だからこそ、セクシャルマイノリティの人々に会ったとしても、「自分はストレートというセクシュアリティであり、この人は自分と違うセクシュアリティなだけだ」という意識を持って接すると良いのではないかと思います。